"いい投資"探検日誌 from 新所沢

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金融包摂勉強会レポート(2):Living in Peace 大野さん・クラウドクレジット 杉山さん

2月4日(木)にクラウドクレジット主催のメディア・ブロガー向けに開催された金融包摂勉強会に参加してきました。

金融包摂とはFinancial Inclusionとは貧困層や中小事業者など基本的な金融サービスへのアクセスが困難であった人達へ金融サービスを利用できるようにすることです。
スピーカーは各方面で金融包摂に関連する取り組みをされている4名の方達でした。

  • ARUN 代表 巧能聡子さん
  • ALLIANCE FORUM FOUNDATION プログラム・オフィサー 村上純子さん
  • Living in Peace 大野貴一郎さん
  • クラウドクレジット 代表取締役 杉山智行さん

後半ではLiving in Peace、クラウドクレジットの取り組みをレポートします。

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Living in Peace 大野さん

Living in Peaceが実現したいことはこの2つです。

  • すべての人にチャンスを
  • 働きながら社会を変える

国内では子どもの貧困削減のため児童養護施設を支援する子どもプロジェクト、海外向けにはマイクロファイナンス機関への投資を行っています。

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マイクロファイナンス(金融包摂)

マイクロファイナンスファンドの企画を日本で初めて2009年に行いました。
カンボジア、ベトナムに向けて2億円以上をファンドとして組成しています。
情報発信にも力を入れていて毎年開催しているマイクロファイナンスフォーラムにはのべ500名以上に来ていただいています。
現地へのスタディツアーも実施していて、実際に貸し出している様子なども見ていただいています。

私たちがマイクロファイナンスをしているわけではなく、海外のマイクロファイナンス機関(MFI)が貸出をしています。
私たちは日本でお金を集めてMFIに対して3年間貸し出しています。

金融包摂について

金融包摂の反対は金融排除です。
つまり金融サービスから排除されている状態からアクセスでき、利用できる状態にあることを金融包摂と呼んでいます。

利用できる状態というのは使う側が使えるという事です。
サービスが存在しているだけではだめで、リテラシーなども含めて使えるようにすることが重要になります。
世界では20億人以上がフォーマルな金融にアクセス出来ていません。

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世銀は2020年までに金融アクセスの改善をうたっており、2015年9月に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では17分野で金融包摂に関する開発目標が書かれています。

金融包摂は途上国だけの問題ではなく、例えばアメリカにもクレジットカードの審査が全然通らないなど存在している問題です。
途上国においてはMFIが出来て初めて口座を持てるようになった人もいます。


クラウドクレジット 杉山さん

クラウドクレジットでは世界の中でお金が豊富な国と不足している国をつなげようとしています。

インターネットの普及により金利収入を得たい人がそうした事が出来るようになりました。
リスクに対してリターンを出さないといけないのに金利が低いため日本においてはハイイールド市場が存在しないためクラウドクレジットは世界に展開しています。

途上国において銀行が貸し出すセクターがあり、一方でマイクロファイナンスが貸すセクターがありますが、こちらはオペレーションコストが高く、結果として高い金利となります。

f:id:m-at:20160204195649j:plainこの両者は貸し出してくれるフォーマルな金融がありますが中間層にはアンフォーマルな金融しかお金を貸す人達がいません。

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金利差はリスクが高くなると大きくなり、同じ種類のローンであっても国によって差が出てきます。
例えばアメリカとメキシコではマイクロファイナンスにおいて60%もの差があります。

これまでのマイクロファイナンスファンドとしてはこのようなものがありました。

クラウドバンクではメキシコのマイクロファイナンス機関kuboと提携しています。
ネット金融の強みを生かして市場水準(年率80%)の半分程度(年率45%)の金利で貸付を行います。
市場水準の半分でも日本の投資家には10%程度の金利を届けられる見込みです。
金利が45%と聞くと日本の皆さんは随分高いと思うかもしれませんが、チリのような半分先進国だと上位20%くらいの事業者のROEは150%、上位40%でROE50%という世界です。
例えばMFIからお金を借りてスラムの横に文房具屋さんを作ると一気に儲かるような状態で、いずれは競合が起きてつぶれるかもしれませんがそうしたらまた新しい事業を行うというように原資さえあれば事業ができるのです。

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社会投資型クラウドファンディングには様々なプレイヤーがいますが、通常の投資信託と比較してもマイクロファイナンス投資ファンドは経済的リターンも妥協しないだけの幅があります。

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昨年末にはカメルーンのソーシャルレンディング業者Ovambaと提携しました。
こちらへの投資の準備も進めています。
カメルーンは国際機関による債務減免プログラムにより政府債務は健全な水準に戻っています。(S&Pの格付けはシングルBフラット)

感想

貧困層に金融サービスを提供することで生活水準を向上する支援を行う金融包摂に関わる様々なプレイヤーの現状について聞く事が出来ました。

途上国においては携帯電話の普及によりモバイルバンキングと決済手段が貧困層にも届いたことでこれまで受けられなかったサービスがどんどん広がっているようです。
参加者を含めたディスカッションの中では貧困層向けの保険も干ばつの多いアフリカにおいては重要で保険に入っておくことで干ばつで作物が枯れた際のリスクをヘッジでき、リスクをとって農作物を育てようとすることが出来るという話も聞きました。

お金が動けばいろいろ変わるんだなとお金は経済の血流という事を改めて感じましたし、今すぐ必要としていないお金を今すぐ必要としている人にお金を届ける「金融」の本来の姿がそこにはあるのではないかと思いました。

例えばベンチャーキャピタル(VC)が投資していた場合、彼らは市場金利で貸し出せばもっと儲かるのになぜそうしない?とVC出資者への責任からもっと儲かる金利で貸し出すことを求めます。
ソーシャルレンディングのよいところは例えばクラウドクレジットが市場金利の半分程度で貧困層にお金を貸付ようとした時、それに賛同した人達からだけお金を集めることが出来るところにあると思います。
金利を下げることにより貸倒率が改善した方が少しリターンは下がるかもしれませんがハッピーになる人は確実に増えます。
経済的リターンと社会的リターンのバランスを考えながら様々な形の社会的投資が生まれることで社会的投資セクターに幅が生まれて活性化していくのではないかと思います。

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