いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

【いいチームをつくりましょうプロジェクト第二弾】やさしく、つよく、おもしろく 「そうだ!糸井重里さんにとことん聞いてみよう」レポートVol.2

10月21日に開催された「いいチームをつくりましょうプロジェクト第二弾 そうだ!糸井重里さんにとことん聞いてみよう」のレポートです。

 

今、糸井重里さんが考えていることをとことん聞いてみよう。チーム作り、上場、社会設計、そして残していきたいもの。

 日時:2015年10月21日(水) 18:30〜21:15
 場所:玉川区民会館 ホール会場
 糸井重里西條剛央新井和宏大久保寛司

第二部は糸井重里さんが登場。
前半が講演、後半は西條さん、新井さんを交えてのセッションとなりました。

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糸井:

以前、年賀状にこの頃考えていることを書いていたのが好評でした。
その後、年賀状を出すのは止めてしまったのですが、そういった事を知りたがる相手がインターネットの先にいるとわかったので任天堂の岩田さんに相談してインターネットの新聞を始めました。
それがほぼ日刊イトイ新聞のはじまりです。

当時はマザー2が60万本売れていたのでその印税もあったんです。
ほぼ日には色んなゲストを招いたりしていたのですが、無料のままで食っていけるわけではないと薄々気付いてしまい、Tシャツでも売ってみますか?となりました。
バンドのTシャツと同じように好きな人が買ってくれるだろうというわけです。
売れる物は売ろうという事ではありますが、「売れる仕事」ではなく、みんなに面白がってもらう、集まってもらう、喜んでもらえる仕事にしました。

そこでほぼ日では全部コンテンツという言い方でやることになりました。
西條さんとの対談もその一つですし、腹巻きも腹巻きというものの形をしたコンテンツです。
どういう人が喜んでくれるのか商品コンテンツやイベントのコンテンツを考えました。

最初はコピーライターの仕事もフリーでやっていました。
最初に勤めた会社がすぐにつぶれたので25歳くらいでフリーになり、ほぼ日をやるまでずっとフリーでした。
それまでは組織は良くないもので、個人は良くて、俺の腕を見ろというやりかたでやってきました。
ほぼ日で初めてどういうチームを作り、育てればいいのか本気で考えるようになりました。

 

ここで鎌倉投信の新井さんが壇上に登場。
前回、糸井さんから「新井さんはさだまさし」と言われたのを受けてギターを背負っての登場です。

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続いて西條さんも「チョッキを脱いだ西條さんを見てみたい」という言葉に応えてチョッキを脱ぎますが・・・

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チョッキの下にチョッキを着ているチョッキonチョッキでした!

三人揃ったところで改めて糸井重里さんとのお話が始まりました。

西條:
チームづくりでこころがけていることは何でしょうか?

糸井:
ない・・・ですね。
あまり怒ることは無いんですが、秘書と立ち食い蕎麦を食べている時に怒ったことがあります。
うちの事務所はみんなで河口湖までバスで焼き肉を食べに行ったりするんですが、ある時タクシーに分乗してランチを食べに行くことになりました。
彼女は元芸能マネージャーだったのでタクシーを事務所の近くにまとめて呼んでみんなをどんどん乗せようとしました。
みんなで移動する時って話を聞いてない人がいたり、なかなか足並みが揃わないですよね。
そうして近所にタクシーが溜まってしまった事で近所の人に迷惑をかけた事については怒りました。

企業は偉い人が不自由しないように生きているんです。
その為にハイヤーの運転手に対してずいぶん迷惑な事も平気でしますが、ああいうのが日本の企業文化になってしまっています。
自然に無意識にやってしまうかもしれません。

新井:
すごく大事なところですね。
伊那食品さんの右折禁止を思い出しました。伊那食品工業では出勤する時、会社の駐車場には必ず左折で入るようにしています。
地域の方に迷惑をかけないようにという心遣いです。

糸井:
ルールで明文化するのはやってみたい欲望がありますが、そこは(言わなくても)わかれよとも思うんです。
ルールにしてしまう事で遅れてしまう理由でもある。
早くやるためにはここに書いてるルールを全部やるしかなくなります。
そこで先に理念を話すようにしています。
難しく聞こえるけど、こういう事を考えているのでこういう集まりですって最低限みんなが共通して持っていたい約束を話すんです。

でも、うちは明文化された企業理念は無いままやってます。
そういう理念を作っちゃった時、そこからこぼれる吹きこぼれをどうやって救えばいいんだというのが気になっちゃうんです。

西條:
ドラッカーが企業は害だけは成してはいけないと言っています。
今日もボランティアの方に早めに来れる方は近所の喫茶店に16時に集合してくださいと案内したら30人も来ていただいて、喫茶店の廊下まで自分たちで溢れてしまいました。
それこそ他のお客さんの迷惑になりかねないと、急きょ喫茶店を出て近くの公園で1時間くらい打ち合わせをしました。
関心は自分を心地よくしてくれますが、社会に迷惑をかけてまでもそれをしてくれるなというのをわかっている人達でした。

理念を明示化するのはいい事ですが、弊害としては理念は形骸化しやすいんです。理念を守ってるポーズをするようになります。
日本という組織も憲法も変えればいいんだにつながりました。

新井:
理念の話で、明文化して伝えたいことが何文字かで表されると固定化されちゃいます。
「それでいいのか?こぼれるものがたくさんあって表現しきれないよ。」と言ったとしても、例えば今日のような講演依頼がたくさん来て糸井さんがいつも事務所にいなくなったらほぼ日事務所の人たちはどうしたらいいんですか?

糸井:
講演が多くなることはないんです。
基本的にお断りしてるから。
忙しくなるから会社にも来ませんし、堂々とサボってます(笑)
色々と言葉にしないんです。でも言葉にする商売をしていました。
ものすごい矛盾していますがどっちも本当です。

形骸化しやすい言葉の使い方をすれば物事は形骸化してしまいます。
社会に害をなさないが見事というのでは永遠にはなりません。
言葉としては良く出来ていないってことなんです。
言葉で定義してないから守れないじゃないですかと言いますが、一方で言葉だけでは追っかけきれない概念に言葉の面白さがあります。

「おいしい生活」というコピーでは美味しいという基準は人によって全部違うところに面白さがあります。 
鯖缶だったりフォアグラだったり、おいしいという価値の基準を提示しないからキープしていられるんです。
その最たるものが南無阿弥陀仏。
誰でも暗記できますよね。
阿弥陀仏ありがとうとそれさえ言えば極楽に行けるというのはシンプルですが形骸化していません。 

ほぼ日は「やさしく、つよく、おもしろく」ありたいと思っています。
企業理念のように言語化することを全く否定するつもりはありませんが、この言葉でもみんなの動きが揃うんです。

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新井:
深いですね。

糸井:
そんなに浅いと思ってましたか(笑)

新井:
事務所のみなさんへの浸透が気になりますね。
社員の方に質問です。普段の糸井さんは事務所にいないですか?

社員:
基本的にいます。
糸井のスケジュールは共有されていて、映画や野球にでかけることもありますが、行先がわかってなくていない事はありません。
糸井の行先は土日も含めて知っています。

糸井:
スケジュールは全員が知っているんです。
嫌なもんですよ(笑)
でも慣れました。
交番のおまわりさんのようにずっといるんです。

新井:
理念を伝えようとしてますか?

社員:
この間「やさしく、つよく、おもしろく」について話していました。

糸井:
大事なのはやさしく。
でも、優しさは強くないと守れないし、面白くないと食えないんです。

社員
この順番でいいかなと聞かれましたが、その順番でいいという結論になりました。

西條:
週に一回、理念を話していますよね。

糸井:
おれもまだよくわかんないけどこう思ってるという話は混ぜるようにしています。
自分にとって一番の大仕事がそれ。
準備しすぎると押しつけることになるので市川猿之助さんが事前に芝居の説明をしたという話をヒントにしています。
猿之助さんは会場のスタッフ全員、外にいる売店の人にも演劇の内容を事前に説明したんです。
売店の人にも内容を事前に知ってもらうことで幕の合間に買い物に来た人への対応も変わってきます。
それを聞いて素晴らしい事だと思いました。

うちの事務所でも違う種類の仕事に敬意を持つように物理的にしてます。
決算期は経理の人が大変だという風景をつくりだし、席替えするのもそれです。

新井:
席替えはどうしているんですか?

糸井:
今はあみだくじです。
あとはお互いインタビューもします。
結婚式かってくらい互いにインタビューしてレポートを出すんです。
そうするとみんなちょっとごますり気味になるのが面白いです。

西條:
以前MBAのコースで教えていて、ほぼ日の経営の研究をしました。
人事採用で一番大事にしているところは明示化しないと言っていて理念と一緒なんだなと思いました。
採用で何を大事にしているか明かすとそれを逆手に取って寄ってくる人がいます。
大事なところを言語化しないのは知恵ですね。

大久保寛司さんに伊那食品を紹介されましたが、社是の「いい会社をつくりましょう」にいい会社の具体的な定義はありません。
塚越会長はいい会社とはすべての人にいい会社だねと言われることだと言っています。
これはすごい知恵です。固定化すると普遍化しないんです。

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糸井:
機能や要素に還元できることで勉強しすぎてると思います。
どの要素が出来れば採用されるのかわかっても困ります。毎日が不慮の事故のようなもので、そこに寛容でないと窮屈になってしまいます。
いくら機能を磨かれたとしても、その場で役立っても次には陳腐化している可能性があります。
採用の時、いい人募集と言っちゃった事があるんです。
あれはアホな人を選別するのにいいですね。
「私はいい人です」という人がたくさん来るんです。そういう人は全部撥ねます。
バカだから。
最終選考は一緒に合宿します。
落ちる人と受かる人が一緒に助け合う中であの蹴落とし方はないよなとか見てます。

西條:
大学は表と裏の世界で色々と形骸化しています。
糸井さんが大学を作ったら全然違う基準で人を選んで学べる大学を作れるんじゃないかと思います。
もしそういうビジョンがあれば。

糸井:
自分で大学を作ろうと考えたことはないけどそういう考えはあるなと思った事があります。
亀倉雄策さんは義理人情に厚い人で、リクルート問題の時、こういう時に江副さんから離れる人でありたくないとリクルートの社内にデザイン事務所を持つと言ったんです。その亀倉さんからリクルートはお金があるから小岩井に大学を作りたい。
一緒にやろうと誘われました。
その時、いいですよってなんでか答えました。
アイデアはあったんです。
みんな無料にして真ん中に広場があって、学部毎に放射線状に行き来が出来る混ざり合うような大学です。
いつまでもいていいよってするとものすごく面白いやつが育つに違いないと思いました。
磨く必要のある人だけが磨く大学です。全員を同じ水準にするのが学問になりましたが、それでは工業製品と一緒です。
今はバカだけどいていいよっていう場です。で、いい人がいたら連れてくる。

西條:
人間科学部というのは細分化された分野で専門家の人が研究室にいるので何も起こらないんです。

新井:
完全にリクルート活動ですね。
そうした方が手っ取り早いし本質的に彼らが見えると思います。
損得抜きに教えたことの信頼は大きいです。

糸井:
例えば扇風機を作っていたとして、ラインがなくなったらクビになってしまいます。
でも、儲からなくていいから仕事をできるようにしておくんです。
利益をあげなくてもいいけど仕事になるのを考えることが大事ではないかと思います。
もともと、弟子に教える行為は目先の利益前提でなく持ち出しですし。

西條:
投資も同じで目先がどうかではありません。
将来のことは計算してわかるものではないですし、事業計画は絵に描いた餅です。
見返りを求めず投資するのが最も返ってくる実感があります。
自己の利益の最大化は自分中心で判断しますが、そういう人とはつきあいたくないし、応えたくないという気持ちになります。
逆に見返りを求めない投資に対してはここまでされたからには何か返したいと思うものです。

糸井:
世の中、損をしないロジックは発達してリスク回避に秀才が集まりました。
ノーリスクを目指して研ぎ澄まされていくとどんどん自由度が無くなっていきます。
リスクよりコストを考えた方がスイングしやすいんです。

 

大久保寛司さんを迎えて次の世代へつなげるチームづくりにつづきます。

 

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