"いい投資"探検日誌 from 新所沢

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IKEUCHI ORGANIC TOKYO STOREトークイベント「最大限の安全を語る」に行ってきました

7月28日(火)に開催されたIKEUCHI ORGANICのトークイベントに行ってきました。自分が池内タオル(現IKEUCHI ORGANIC)を知ることになったきっかけは鎌倉投信の第一回受益者総会でした。パネルディスカッションで綿は刈り取るために枯れ葉剤を撒いている(オーガニックなものを除く)という事を知り、知らなかった世界がぐぐっと広がりました。

まさに繊維の安全というキーワードで関心を持った会社だったのでエコテックス認証の検査機関の所長さんのお話が聞けるという事で楽しみにしていたイベントです。日本はまだまだ繊維製品に対して安全だと思っているが故の無関心というメッセージもありましたが、こういう規格ってヨーロッパ発祥のものが多いように思います。(社会的責任投資について投資家が熱心なのもヨーロッパですね)

繊維製品の安全性という意味では日本製の製品がしっかりしていたが故にあえて規格化が進まず、安全性について気づかないならそっとしておいて欲しいという国の後ろ向きな態度とともに遅れてしまったのは残念です。日本は安い中国産タオルの輸入攻勢に対してセーフガードの発動という市場を閉じる方策をとりましたが、欧州ではエコテックスのような安全性に関する規制を作り、売ってもいいけど安全性は担保してねっていうウォールを作りました。こういう方法の方が建設的ですし、進化を促すという面からも国内の産業も守るきっかけになるように思います。

という事でトークイベントのメモを元にしたレポートです。

 

「最大限の安全を語る」
日時:2015年7月28日(火) 19:00〜20:30
場所:IKEUCHI ORGANIC TOKYO STORE
講師:瀧波浩治さん(ニッセンケン エコテックス事業所所長)
   池内計司さん(IKEUCHI ORGANIC株式会社 代表取締役)

Q.エコテックスの概要について教えて下さい。

瀧波:安全だと思っていても実際には危険な場合があるので化学的に検証して安全性に関するラベルをつけています。ラベルがついていれば安全性については間違いありません。世界中から繊維製品で危険なものをなくしていこうという考えで主要国の法規制よりも厳しいか同等の基準としています。

赤ちゃんからお年寄りまで使っていただけるように様々な試験項目があり、世界的に一番厳しいとともに、年々厳しくなっています。

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Q.エコテックス規格はヨーロッパから始まりましたが、日本との価値観の違いについてどのように感じていますか?

瀧波:諸外国の法規制に比較して日本は遅れています。10年以上前までは繊維製品も主に国内で作っていたので、水や空気と同じように安全もタダという感じで考えていませんでした。国内で生産するのと同じような感覚のまま東南アジアに生産を委託し、安全かどうか気にせず安いものを使っていました。ホルマリンだけは気にしていましたが。

中国で作ったものは大丈夫かと言われていましたが、中国ではヨーロッパ向け輸出のために10年以上前に法規制しています。韓国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムが追随しましたが日本はまだです。そうなると政府に問題があるのではないかと思います。

グローバル企業は先方から言われるので気がつきますが、中国で作るにしても国毎にバラバラの規制では作りにくいのです。
そこでエコテックスのような世界的な法規制をクリアするような基準が役立ちます。
繊維産業連盟というところがあり、2009年から自主基準が始まりましたが、あくまでも必要最低限のものです。今年ようやく厚生労働省が法規制して発ガン性のある染料の使用は禁じられました。

 

Q.オーガニックだからといって安全と限るわけではない中、なぜエコテックスを取得しようとしたのでしょうか?

池内:池内タオルでは2000年10月に取得しましたが、1999年当時は環境ISOの14001で作ってる唯一のタオル会社という意識で、そこまでの考えはありませんでした。

安全性は数値で表していましたが、2000年春頃にエコテックスが日本でも申請出来ることになり、オーガニック120を申請したのがその年の秋の事です。その後エコテックス認証を取得した新しい素材をどんどん増やしていきました。

2014年3月1日、IKEUCHI ORGANICに社名変更するタイミングでエコテックスをとっていなかったストレイツをストレイツ2にモデルチェンジして全製品エコテックスクラス1取得になりました。

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Q.どうしてクラス1を目指したのでしょうか?

池内:一番高いところを目指すのがうちの姿です。もっと高いのを作って下さいと言っていて、イケウチとしては今の基準は卒業したつもりです。

IKEUCHI ORGANICでは食べられるタオルを2073年までに作ると言い切っているので食べても大丈夫なタオルを作ろうとしています。今は赤ちゃんが舐めてもいいだけなので・・・

瀧波:新しい規格をちょっと考えましょうかね…

 

Q.タオル以外の他業界ではどうですか?

瀧波:基本的に糸での取得が多いですが、様々な部品でも取得できますし、完成品としても取得できます。既に認証を取得済の部品を使っていればその部分については検査は不要ですので二重に検査が必要になることはありません。日本だとなかなかありませんが中国ではそういったケースも多くあります。

全世界で15万件あるエコテックス認証のうち3700くらいが日本の認証ですが、内訳はボタンなどのパーツが中心です。メインの生地は中国で生産してもらって精度が求められるボタンなどは国内で生産という組み合わせが主流のようです。

IKEUCHIさんのように最終製品での取得はまだ少ないのでもっと増やしていきたいと思っています。

池内:縫い糸の話が出たので話すと、IKEUCHIでもこれまで縫い糸や刺繍糸にはオーガニックな綿を使っていませんでした。もちろんエコテックス認証糸を使っているのですが、オーガニックな糸ではなかったのでIKEUCHI用にオーガニックな糸を作りました。

コットンヌーボー2015の白は刺繍糸にしましたが、縫い糸(ミシン糸)もオーガニックにして生産が始まっており、現行仕様の在庫がなくなり次第店頭に並ぶことになります。

なぜ縫い糸をオーガニックにしていなかったかと言うと使う量が圧倒的に少ないからです。縫い糸はタオル1年分でも1本あれば十分です。糸を作るにも最少ロットがあり、余った分はメーカーにとって在庫となります。また、ミシン糸は強度が必要ですがオーガニックで強度を求めることが難しかったという面もあります。

 

Q.タオル業界でエコテックス認証の取得は進んでいるのでしょうか?

瀧波:ベビー用品は少しでも汚染してはいけないという事で取得されていますが、堅牢度的に全製品で取得するというは非常に難しいと思います。池内さんはよほど優れた工程管理をしているのだと思います。

池内:最初の申請書は自分が書きましたが、難しいんです。テストより難しい・・・

瀧波:テストはこちらがします(笑)

池内:生産にあたって使っている全化学物質を提出する必要がありました。全ての原料を自社が作っているわけではないので製造元からそれらのデータを集める必要があるのですが、企業秘密と言われたり大変でした。特にミシン糸のデータをもらうのが難しかったです。

それでも1999年にISO14001を取得する時にもデータをもらっていたので皆さん割と出してくれました。今はエコテックス認証を取得済の糸などからどれを使うか選ぶことができますが、最初は他社からデータをもらうのが大変でした。

瀧波:こちらでサンプルを分析しますが、サンプルが本当に全体の代表なのか?サンプルだけ特別に作られていることがないように確認もしています。

製造工程もしっかり決められていますので、認証を取ってから勝手に製造工程を変えられても困ります。ここで買ったものをこのラインでこのように加工するという風に工程が固定されたものについて認証します。

もちろん最初だけでなく、定期的に訪問監査も行っています。最初は規格が全部英文だったのを和訳しながらやっていたのでわかりにくかったと思います。

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Q.今治の工場にも訪問監査があるんですか?

池内:3年毎に来ていただいています。

 

Q.安全な認証とはなんでしょうか?

池内:インドでオーガニックコットンの種子を買うと1/3くらい遺伝子組換の種子が混ざっています。故意なのか偶然なのかわかりませんが・・・もっときっちり調べられたらいいのにと思っています。種子ならまだ育てる段階で見分けも付きますが、加工品に混入されるとわかりません。

瀧波:安全性に問題が見つかれば遺伝子組み換え綿はエコテックスの規制対象に入る可能性もありますが・・・

例えば撥水加工しようとした時、最初は安全性は意識せず撥水効果だけ考えて加工していました。フッ素もまるまるは今はダメと言われていますが、導入された当時は機能が高くて危険なものが見つかっていなかったので広く使われていました。

新しいものを作るとそれに対して知見がないので調査結果が出るまでイタチごっこになっしまいます。発ガン性が見つかれば規制の対象になりますが、新しい素材は機能性はいいが安全性はどうなのか考えてみる必要があります。すぐに影響がなくとも隔世遺伝というケースもあるので新しい素材ほど安全性に関する分析を厳しく行っています。

 

Q.日本にこうなってほしいという想いはありますか?

池内:作り手の意識が高いのが日本だと思います。

瀧波:何が安全かを知ることです。最初に法規制が遅れていると言いましたが、基準が無いと何が安全か言えません。安全性に関する啓蒙をしないといけないと思っていますが、役所にしてみると寝た子を起こすような事はしないで欲しいという事だったのかもしれません。

知識を与えて選択してもらうことを国にしてもらう事が大事で、業界は国よりもちょっと早く動く必要があります。日本人は安全に対して敏感ですが、繊維に関しては無関心だと思います。

池内:エコテックス認証だと何がいいかというと抜き打ち試験があることです。第三者機関による抜き打ち試験では何か問題があると公表される可能性が極めて高いと言えます。

今治タオル認証についても抜き打ち試験がありますが、こちらは業界内検査です。業界内検査では問題があっても表に出ないのではないかと思われているので、例えばアメリカでは「今治タオル認証」ですと言っても「業界内テストでしょ。」と言われてしまいます

すると安全性を訴えるには第三者機関による検査を受けたエコテックス認証が必要になります。これ以上の規格はありません。検査にかかる費用もだいぶ違いますが。

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Q.タオルで取得が難しいラインというのはありますか?

瀧波:染色堅牢度5級というのが難しいのですが、綿のタオルの場合は原糸の残留農薬もしっかり調べています。

アメリカ等では綿の収穫に枯れ葉剤を使っており、もちろん影響のない程度での使用だと思いますが60種類にわたる残留農薬の検査を行っています。

中国で生産した場合アルカリで染めていますが洗浄をしっかりしていないと肌に触れた際に肌荒れする原因にもなります。洗浄に使う水が汚ければそれ以上にキレイになることはありません。他にも重金属のクロームやコバルトなどを入れすぎると汗で重金属成分が漏れてアレルギーの原因にもなります。

 

Q.リーメイ社の糸はどうなのでしょうか?

池内:ほぼ15年間エコテックスの検査を受けていますが残留農薬は規制値以下に抑えられています。検査でひっかかったのはネームタグに使われているポリエステルです。今は全てオーガニックなものに変更しましたが、それもあって今治タオルのネームタグは基本的に付けていません。(今治タオルのネームタグについてはデータを提出してもらえていないため)

 

Q.IKEUCHI ORGANICでの染色行程について教えてください。

池内:IKEUCHI ORGANICが依頼している関連会社のインターワークスでは最初から染色にはスミフィックスしか使わないと決めています。
理由は色が落ちにくいからですが、これは染色行程において致命的なことでもあります。色は落ちやすい方が後から修正しやすいのですが、色が落ちにくいという事は大量のB品を作りかねないという事です。でも、僕らはあえて色落ちしにくいスミフィックスを使っています。
工場を見てもらうとわかるのですが、染色工程には液流マシンしかなく、それも100kgと30kgの2本のラインしかありません。こうする事によって認証を取ろうとした時に染色ラインを固定することが出来ます。普通の染色工場にお願いしたのでは様々なラインがあるため、なかなかこちらの指定した通りのラインでだけ加工してもらうことはできません。

インターワークスで使っている水は石鎚山脈の地下80〜120mから汲み上げた地下水を使用しており、金属成分が少ないのが特徴です。
西条市の水は日本名水100選にも選ばれていて他には四国コカ・コーラも使っています。きっと四国のいろはすは美味しいと思います。

Q.検査項目は認証のクラス毎に違うでしょうか?

瀧波:ベビー用途であればクラス1になります。クラス毎に検査項目が違うものもありますが、同じ項目を調べるけれどもより基準値が厳しいというのもあります。

日本の場合は7割がクラス1での申請です。20以上の検査項目がありますが素材に合わせて可能性のあるものを検査していきます。検査をするにあたって検査器具もさることながら危険物そのものも比較用の検体として購入する必要があり、検査費用が違うと先ほど話がありましたが、結構お金がかかっています。

新素材の場合はそれに合わせて検査内容を改良するのが大変です。検査以外に問題が発生した場合どこに原因があるのか調査も行います。

Q.興味のある基準はどのようなものでしょうか?

池内:この秋、本社工場で食品工場のISOを取得するよう申請中です。タオル工場を食品工場とするにあたって今、対応を方法を検討しているのが社屋内を三段階に分けてそれぞれ履く靴を変えないといけないことへの対応です。

タオル工場をフードファブリック工場として認めてくれるかどうかわかりませんが、申請をしてみます。合格していたら11月のコットンヌーボーの発表会でお知らせします。黙っていたらダメだったという事なのでそっとしておいて下さい(笑)

Q.フードファブリック工場を目指していることについて瀧波さんはどう思いますか?

瀧波:認証対象外ですね(笑)

Q.事故事例など聞かせていただけますか?

瀧波:本部にも聞いていますが認証品についての事故はないという回答でした。一件くらいあるでしょうと聞いても答えは変わりませんでした。

Q.これから取得する企業に向けて一言いただけますか?

瀧波:欧州では小売店に並べるにはエコテックスラベルが無いと売れないというようになっています。日本の企業でも輸出している企業は昔から知っていて対応していますが、そのくらい安全性のチェックが求められています。

 

お土産

トークイベントの参加者にはおみやげとしてエコテックスのキャラクター、エコダックスが刺繍されたタオルハンカチが配られました。レア品です!

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【参考サイト】

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