いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

世界初のソーシャルインパクトボンドの失敗から何を学ぶのか

2年前にソーシャルインパクトボンドカンファレンスに参加して学んだソーシャルインパクトボンド。公共セクターの資金が不足していく中で社会的インパクトを求める投資家にリスクを取ってもらう仕組みです。成功すれば公共セクターは削減できたはずのお金の一部を投資家へ渡し、失敗すれば投資家が涙をのむという考えたの絶対公共セクターの人だろっていう(公共セクターにとって特に)美味しい話です。

ソーシャルインパクトボンド(SIB)の仕組みについてはこのアニメがわかりやすいです。

 

日本でもパイロットケースが始まっていますが、本家イギリスで行われたテストケースはなかなかうまくいかなかったようです。

【前編】ソーシャルインパクトボンド、過去2案件の「失敗」は、次へどう影響するか?

イギリスのピーターバロウ刑務所のケースでは出所した受刑者が再犯を犯して戻ってくる率が140%だったのを投資家から集めた資金で社会復帰プログラムを受講することで130%に改善させるというプログラムでした。

しかし、結果的には当初予定されていた3つ目のグループについては実施を中止。それまでの2つのグループにおいても目標は達せられませんでした。(2016年には元本が戻ってくる見込みだそうです)

SIBの仕組みが導入されたって話は聞いていたのですが、結果がどうなったのか気になっていたんですよね。アメリカでもBloombergとゴールドマンサックスが資金提供者となって華々しく始まったSIBが目標としていた再犯率10%低下とまではいかず、再犯率-8.4%という結果に終わっています。

いずれのケースでもSIBの金融商品としての金銭的リターンは失敗というものでしたが、公共セクターからすると特に資金を出さずに一定程度の成果を享受したとも言えます。

先行した2案件の失敗を受けて今後は投資家がリターンを得るために条件設定が変わりそうな気がします。しかし、そこを甘くしすぎるとそもそも何のためにやってるんだっけ?という事にもなりかねません。

投資という形にしてプラスのリターンを期待させることによってソーシャルセクターが寄付よりも大きな資金を民間から調達するというのがSIBが目指していた姿です。

日本でも横須賀市で特別養子縁組の推進にSIBの仕組みをパイロット的に導入しました。SIBの場合、あまり小口にできるような気もしないので(成功率が高いんだったら公共セクターが素直にお金を出せばいいはず)個人というよりもある程度まとまった大口の資金が必要なんですよね。

でも、成功率が低いから投資家にリスクを転嫁っていうのは投資家としてはどうかと思いますよね。自分は投資家の立場でSIBを見ているのでNPOや中間支援組織の人達が思っている程SIBに盛り上がりを感じないんですよね。(SIBに関連する登場人物の中でどう考えても投資家にだけリスクが集中しすぎてます)

日本財団は資金の出し手として頑張ればいいと思うんですが、中間支援組織として絡みたいと思っているんでしょうね。イギリスや韓国では休眠預金をインパクト投資に活用しているので日本も休眠預金の活用先としてSIBが注目されています。

休眠預金はその名の通り確かに眠っているお金ではあるのですが、そういうお金をSIBに向けていいのかな?って気がします。誰も文句を言わない資金だからリスクを転嫁しても文句ないでしょって風にも見えますし・・・。SIBにとって珍しく都合のいい資金ではありますよね。

社会的投資が意思のあるお金の使い途だとするならば、休眠預金に安易に手を出すのではなく、広く市井から意思のあるお金を集めるにはどうしたらいいか考えた方がいいと思うんですよね。

意思のあるお金の使い途として財団が持続可能な社会支援のための資金の出し先として、助成金ではなくSIBを活用というのがいいんじゃないかと思いますし、個人向けに小口化した商品が出てくれれば自分も一部資金の投資先として検討できると思います。

投資家に集中したリスクに見合う正当な金銭的リターンを投資家が求めてしまうとそもそもSIBって何なの?って事になると思いますので、ある程度は社会的リターンを受け取ったという事で割り引くとしても、投資家が投資したくなるようにもう少し練り直す必要があるのではないかと思います。