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"いい投資"探検日誌 from 新所沢

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています

ソーシャルファイナンスの教科書 [著]河口真理子

読書

ソーシャルファイナンスの教科書という名前がついていますが、副題がステキです。

「社会」のために「あなたのお金」が働くということ

まさにこの本の中身を一言で言い表しています。

ソーシャルファイナンスの教科書―――「社会」のために「あなたのお金」が働くということ

ソーシャルファイナンスの教科書―――「社会」のために「あなたのお金」が働くということ

 

投資というとどういう風にすれば儲かるか?この視点で書かれた本が圧倒的多数です。でも、投資ってそもそも何なの?金融ってなんなの?という視点を一般生活者に響く言葉で伝えられる本は数少ないのが現状です。

多くの人はまず消費者であり、労働者であると思いますが、実は保険や年金基金を通じて株主でもあります。その株主が目先の利益ばかり注目して、そもそも会社が進むべき方向について無頓着であったならどんな社会になるでしょうか?

これは銘柄選びをアクティブにするかインデックスに合わせるかという話ではなく、機関投資家が会社の部分オーナー(株主)として責任を果たすかどうかという話です。直接投資をしていなくても間接的に保険や年金を通じて行っている投資行動について一般生活者もしっかり見ていこうという呼びかけでもあります。

投資のもともとの姿はお金を必要としている人にお金を出して成果を山分けすることであって、何にお金を出すのか?というところに注目すると、社会を良くするための活動に投資という形で関わることも出来るのです。(別に寄付やボランティア活動である必要はありません)

例えば自然エネルギーの発電所を作る資金を出したり、被災した事業者が復興するのを支える事もできます。地方でこだわりのものづくりをしている事業者を応援することだってできます。貧困から抜け出すためのマイクロファイナンスの原資を出すこともできます。それらは寄付とは違って成果に応じてお金が戻ってきます。

大きくは儲からないかもしれないけれども満足度の高いお金の使い方ができる。そう思う人は実は世の中にたくさんいるのではないかと思います。

投資はいかに短い期間で効率的に多く儲けるかが大事という価値観もありますが、一方でこういう価値観を持つ人もそれなりにいると思います。ここに登場するのが「ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~」で出てきた特定多数という考え方なのではないかと思います。

この本の中で環境や社会性に配慮した成果が結果として表れるまで長期目線で付き合う投資家を「キラキラ長期投資家」と呼んでいます。私はこのネーミングは好きではありませんが、言わんとすることはわかります。そしてそれはたぶん私の事です。

実際本の中には私が投資しているセキュリテやら自然エネルギーのファンド、コミュニティ・ユース・バンク momo鎌倉投信コモンズ投信マイクロファイナンスファンドが登場しますし、西粟倉で出逢ったみらいのシカケの西塔さんも登場します。

私みたいにやたらとあちこち飛び回る必要はないと思いますが、このスタイルの投資はとにかく楽しいです。確かに利回りは減っているのかもしれません。でも、充実度はお金が増えている以上なんじゃないかと思います。充実度があれば、マイナスの時でも止めようって気にはならないですし、人の役にたてて嬉しいという割とどんな人にもある欲求も満たすことができます。

以前はESG投資が利益を我慢して社会的リターンを求めるという考えに対して長期的に見れば利益も求められるんじゃないかと思ってましたが、最近は社会的リターンを求めた分は金銭的リターンが減ってもいいのかなと思うようになりました。そこはファンド次第なので(投資家である)僕が頑張るところではないですね。

いいな〜って思える事業があると投資したい!って思うようになり、奥多摩のツアーで一緒になった大学生から面白いですねって言われましたが、そこに何の疑問もないんですよね。金銭的なリスクは引き受けるから存分にやってみてと思える事業だというのが前提ではありますが、そういうやさしい金融があってもいいのかなと思っています。

投資の基本を書いた本では藤野さんの『投資家が「お金」よりも大切にしていること 』が断然オススメなんですが、もう少し社会性を求める人には河口さんの本の方がすんなり入っていけるんじゃないかと思います。