"いい投資"探検日誌 from 新所沢

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なぜ今”本質に寄り添う”ことが一番大事なのか? [大久保寛司×新井和宏×西條剛央] いいチームをつくりましょうキックオフイベントレポート(4)

いいチームをつくりましょうキックオフイベントレポートの最終回は大久保寛司さんを交えて行われたクリエイティブディスカッションのレポートです。

大久保寛司さんが入ることで短い時間でもぎゅっと引き締まり、重要な点が浮き彫りになってくるのをいつも感じます。メモをとってばかりいないで感じることが大事というのはお話の中でも出てきている言葉なのですが、話している行間を読む。本当に伝えたいことはなんなのか?というのはその場で聞いた人でないと感じられないところだと思います。

  • 様々なテクニックがあるけれども、結局は誰がやるかが大事。
  • いい事を言っても誰もついてこないんだとしたらあなたに問題がある。
  • 信じられないことを実現する人には人間性が備わっている。

大事だと思ったのはこの3つです。なので、まずは人間性を磨くところから始めないとテクニックだけ学んでも周りを巻き込めないんだと思います。

鎌倉投信のボランティアも一緒にやりたいから集まっているのであって、それはやっぱり鎌倉投信の人達の人間性が醸し出しているものだと思います。

あとは学ぼうとするのであれば

  • 自分のスタンスを無くしてまず受け入れること。
  • 知るのではなく感じること。

この2点は肝に銘じたいと思います。

新井和宏×西條剛央出版記念講演会

いいチームをつくりましょう
 〜ソーシャルと成果を両立させる金融とボランティア組織の共通点〜

日時:2015年6月24日(水) 19:00〜21:20
場所:めぐろパーシモンホール

クリエイティブディスカッション:
 大久保寛司×新井和宏×西條剛央
 「なぜ今”本質に寄り添う”ことが一番大事なのか?」

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まごころを中心に信じられないことを実現している人の根源は人間性

大久保:

構造構成主義についてよくわからなかった人もいると思います。本質はなんなのでしょうか。

西條:

簡単にいうと物事の最も重要なポイントです。

ポイントは状況と目的です。このポイントが明らかになると考えやすくなるのです。
根本的に一番大事なのは共通言語として状況と目的が変わった事をやりとりできることで、一人一人の心にいいものがあっても意識合わせをしておかないと実現できなくなってしまいます。

大久保:

大阪に行きたいという時、何でいくのか?歩くのか新幹線か飛行機か。もし財布が空なら歩いていくしかありませんが、そうでない場合往々にして行く方法で揉めてしまいます。方法論で揉めて止まる人がいるので、大事なのは大阪に行くという事で最悪歩くことも辞さないということです。

本に書いてないことを掘り下げたいと思います。まごころを中心に信じられないことを実現している人の根源は人間性だと思います。お二人はどういうところから育ってきたんでしょうか。

新井さんは子供の頃からまごころの塊だったんですか?

新井:

今思うと親父そっくりになったと思います。親父はお金にならない仕事をたくさんしていました。畳屋だったんですが貧乏なのに養護学校の畳をやめませんでした。私の母親が小児麻痺による障がい者だったので、母親が好きだったからそういう事をやっているのかと思っていたら、ただお金のことを考えない人だったのです。でも、人に好かれる人でした。

私が小学校5年の時に親父はトラックにひき逃げにあいました。親父は働けない、母親も働けないという事で中学生で家の手伝いをしていました。高校になったら中学生の家庭教師、大学は夜学にいって昼間は監査法人でコンサルティングをしていました。出会う人がなんとかしようとしてくれたおかげです。

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大久保:

周りの人がなんとかしようとしてくれたんですね。よく、周りの人が手伝ってくれないと言う人がいますが、それはあなただからです。それ以上の理由はないんです。

それはなんなんでしょうね?西條さんから見てどうですか。

西條:

寛司さんは肯定と応援が冷静ですよね。ズゲンと厳しいことを言われますが受け入れられるんです。痛いところを突かれますが、愛がベースだから受け入れられるんだと思います。

人は本質として肯定されたいと思います。したくない時もありますが、もやもやしている時であっても肯定されたいと本心では思っています。本質に沿う人は指摘する時にもどこかに肯定があるはず。そこがいい人に共通する項目だと思います。

5%を許容するということの重要性

大久保:
新井さんから見てふんばろうプロジェクトはどうですか?命令権もインセンティブもありません。でも、みんなが寄り添ってやれたことについて方法論以上のものがあったと思います。

新井:

誰がしゃべるかに意味があると思います。この人だからついていこうという事です。西條さんは究極のチームづくりに取り組まれましたが、まずもって権限委譲する。そしてしっかり信じるという事をしていました。

信じることをしながら西條さん自身は共通した理念を言語して共有することに時間をかけました。これは経営と一緒です。任せると失敗するリスクはありますが、5%は許容しようとしました。ここがなかなかできないんです。とくに金融機関は。リスクはヘッジしたくなるのが金融です。5%を許容するのが本質だと思います。

大久保:

それは知恵だと思います。人間である以上パーフェクトは無理です。5%の失敗を許容するのはどうしてそうしたのですか?

西條:

今の日本全体が5%の失敗をゼロにしようとしています。

95点から100点にするは95点を取ると同じくらいの力が必要だと思いますが、パフォーマンス最大化が目的であったはずなのに、否定されるのは嫌という損失バイアスが働いて100点を目指してしまうのです。

95%から肯定されていてもたった数人に批判されるだけで嫌になる。そうならないためにリーダーが言ってのけることが大事です。僕自身5%で済まないくらいミスをしまくります。80%とまでは言いませんが・・・。

大久保:

西條さんがすごいのはつい助けてしまうところです。

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西條:

サポーテッドリーダーシップと呼んでいるのですが、僕の結構なだめさ加減は奥さんが知っています。でも、そういっていただける方がサポーターの中にいてくれました。自分に欠点があるので他の人の失敗も許容するようになりました。

天才というのは何らかやばいところがあるものです。

知恵がないと仕掛けと想いだけあっても動かない

大久保:

随所に光るのは知恵です。実際はなかなかついてきてもらえません。良い事を言ったからといって付いてきてもらえるわけではないのです。

例えば会場の掃除をしましょうと良いことを言っても皆さんがいきなりするわけもありません。付いてきてもらえるような自分でないといけないのです。信頼されるような生き方ができ、結果を出さないと発言は認められません。

基本は誰が言うかです。その人が言うからというのは洋の東西を問いません。あなたがいうからやるのです。

ボランティアでも実際には垣根が出来てしまいます。そこで複数のプロジェクトに足を突っ込むことで他のプロジェクトの状況がわかるので誤解が生まれにくくなります。5%ルールもそうです。

メールで良くないことをいうとネガティブな印象が残ります。何百倍も伝わりますし、何より残ってしまいます。

随所に知恵が光ってると思います。知恵がない限り仕掛けと想いがあっても動きません。なぜ動いたか?あなたが真ん中にいたからです。

ボランティアスタッフに徹底したことはなんでしょうか?

西條:

なんのために支援するのか。目的は支援するためではない。現地の人が自立するサポートすることだと徹底しました。

支援が目的になると過剰支援が生まれてしまいます。自分達のプロジェクトは無くなることが目的だと伝え、結果としてうまく進む条件を整えることから始めました。条件を整えた上で進めています。

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理念を徹底する

大久保:

理念は軸ですよね。そこを徹底された。

それは新井さんも同じです。先ほど経営と同じと話していましたが、経営はほとんど徹底できていません。そんな中でも伊那食品工業はすごいです。塚越会長が明日からこうやろうとすると明日から日本全国の工場でできるよなと話していました。伝わる層ができているんです。多くの会社はこれがないから伝わらないんです。

それを一言でいうと「つながっている」という事です。金融業界にいた人がよく考えましたね。

新井:
自分はそんなすごい人ではありません。病気になったときに金融が合わないんだなと正直に思いました。気づかされたんです。考えさせられたのは人の幸せってなんだろう?という事です。

病気で身体を壊して辞めざるをえなかった時、同僚にこう声をかけられました。

「新井さんよかったね。新井さんの身体正常なんだよ。」

なんで病気で辞める自分によかったねなんて声をかけるんだろうと思いましたが、その後違う同僚が亡くなりました。病気という形で身体がSOSを出せないと亡くなってしまうんです。自分は生かされたと思いました。するとこの命をどう使う?となり、考え出すんです。

大久保:

まごころがある方は金融が嫌いです。塚越会長にも紹介するのは金融だけはやめてくれと言われました。鎌倉投信を紹介した時、あなたの紹介でもそれだけは勘弁してと言われました。鎌倉投信の中心の思いはなんでしょうか。

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新井:

僕らが金融でやってきた中でどうしても個人のお客さんは化け物だと言っていました。自分達はすごい技術があると思っていたのに個人は証券会社や銀行などを使う時、技術料を払うつもりはないわけです。だから化け物に見えました。

でも、普通の人になってみたら自分達(金融)こそが化け物だったのです。個人が意思を持ってやるような商品がなかった事に気づいたのが大きかったです。

知るのではなく、感じる

大久保:

業界からは異常値扱いですぐに失敗すると言われました。金融の世界にいるからそんな事を言われましたが外の世界だとそういうのが欲しかったと言われたんです。どこにスタンスをとっているかで変わります。スタンスを無くした時、いろんなものが見えてきます。

西條:

社会全体で考えてもリーマンショックは病が噴出しました。私のところにMBAを取りにくる社会人学生も価値観はお金だけという人はいません。幸せの軸足はお金だけではないらしいと気づいたのがリーマンショックで、家族がいることは当たり前でないんだと気づいたのが震災後です。

憲法を守らなくてもいいんだと確信したのが現在。これをタテマエ言語ゲームと呼んでいます。どんなこともタテマエだけ言い張ればやっていいという状況です。

大学にも理念がありますが、実際は知らないしやっていません。理念は飾りでいいんだ、タテマエ言語ゲームなんだからという考えが根本を蝕んでいます。

考えると感じるの違いってなんでしょう。これが根本ではないでしょうか。知ることと感じることの違いをもっと掘り下げていくことです。

新井:

感じるということについて抽象的ですが、感動って言葉は感じて動くと書きます。感じるから動き出すんです。知るのではなく感じないといけないのですが、これは数値化できません。

西條:

とにかく統計を使えばいいという考え方にも問題があります。例えば鬱の症状についてこんな調査があります。

  • 肩がこる   1〜5段階で回答
  • 死にたくなる 1〜5段階で回答

この2つのスコアを足すんです。統計的に正しいからってなんでこんな変な事をしてしまうんでしょう?死にたくなるってそれだけで大変なことでしょう。でも、研究の分野においてはただの要素であり、それ自体には意味はないんです。

他にも論文を書いても手直しされながら出来上がってジャーナルに掲載されるまでに数年かかってしまいます。いまさらガラケーについての論文が掲載されても世の中にとっては意味ないですよね。時間がかかりすぎることも問題です。

大久保:

まだガラケーを必要としている人もいると思いますが・・・(笑)

西條:

ガラケー自体がだめという事ではなく、必要としている人に届くまで時間がかかりすぎるという事です(笑)

大久保:

中心にあるのはまごころだと思います。金融は通常欲で出来ています。欲が拡大していっても潤うことはありません。もっと渇きが出てきます。まごころが中心だから基本軸からずれることなくお金を動かすことができるんです。

そして幸せを拡大していきます。欲の拡大はのどを一瞬うるおすかもしれませんが不幸を生み出します。西條さんのところも想いの展開をしていました。その想いはどこを目指すのか。知恵をつけられるのかが大事です。

部分を取ってもいけません。発言していないところに本質があるのです。そこに物事の中核があると思います。

糸井重里さんからショートコメント

西條:

糸井重里さんがいらしているので最後に少しお話をうかがいましょう。

糸井:

震災の後、西條さんを会わせたいとたくさんの方から言われました。でも二枚目なんで・・・嫌いなんですよ(笑)。我慢して会ってみたら本質が二枚目じゃなかったんで付き合ってます(笑)

新井さんはその西條さんから会わせたい人がいると言われてNHKのプロフェッショナルが放送されるちょっと前に会いました。本は出ていたのですぐ読んで面白かったんです。

投資という見方を嫌いと言いましたが、投資とは価値は何?という見方なので一番面白いとも言えます。嫌な使いかたをすれば壊すことも整地することもできるんです。企業にとっても背筋が伸びるし面白いと思います。僕らも投資されるような会社にならないと。

最後に関係ないんですがチョッキを脱いだ西條さんを見たいというのと、新井さんはさだまさしだという事です。

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