いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

本質からぶれないしなやかなチーム創りのための”新”実践理論とは? [西條剛央さん] いいチームをつくりましょうキックオフイベントレポート(3)

6月24日(水)に開催されたいいチームをつくりましょうキックオフイベントレポートの3回目は西條剛央さんの講演です。ふんばろう東日本支援プロジェクトの中心的存在だった西條さんの話も新井さんの話とリンクしていて、根っこの部分で二人とも同じなんだなと感じました。

西條さんが書かれた『チームの力: 構造構成主義による”新”組織論 』は一度読んで後半にかなり共感したのですが、この講演を聞いてから改めて読み返すと前半部分で自分が読み落としていたのが次々と出てきました。大久保寛司さんはいい本は読みながら本と対話すると話していましたが、私も読み込んでみたいと思いました。

新井和宏×西條剛央出版記念講演会

いいチームをつくりましょう
 〜ソーシャルと成果を両立させる金融とボランティア組織の共通点〜

日時:2015年6月24日(水) 19:00〜21:20
場所:めぐろパーシモンホール

講演:

 西條剛央さん(早稲田大学大学院MBA客員准教授)
 「本質からぶれないしなやかなチーム創りのための”新”実践理論とは?」

 

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震災支援の本質を見抜く

西條剛央:

私は3.11で人生が変わったと思います。
心理学から始まり哲学へ向かいました。それまで構造構成主義は医療の現場などでは広がっていましたが、それでいいかと思っていました。これ以上表に出て行くといろいろ起こるのが面倒だと思い、ぼちぼちやっていくくらいがいいのかなと思っていたのです。

震災の後、最初に感じたのは自分の無力さです。
原発事故もあって今後どうなるかわかりませんでした。学者なのでなんとか情報を整理したりしていましたが無力感は拭えず、悔しかったのです。初めて今まで求めたことのない強い力を求めました。

自分には大したことはできないだろうけれども、それでもできることがしたいと被災地に行きました。トラックに支援物資を山積みにして妻の会社の社長に運転してもらいました。私はゴールドペーパードライバーでしたし、免許を合宿で取得した山形には高速道路もありませんでした。私が運転したのでは被災地に着く前に首都高で死ぬ可能性が高いのでドライバーを探したのです。

現地に行って支援物資が山積みになったまま滞っているのを見たとき、ちょうどヤマトの倉庫が近くの高台にあって、そこに人がいるのを見ました。ヤマトが動き始めるんだったら直送してもらった方がいいだろうと考え、翌日には仕組みを作り、拠点を増やしていきました。

糸井重里さんとの対談(ほぼ日刊イトイ新聞 - 西條剛央さんの、すんごいアイディア。)をきっかけに反響が集まり、その後ガイアの夜明けにも取り上げられたことで7月には1,000カ所、最終的には3,000カ所へ直送する仕組みを作りました。また、25,000世帯への家電配布プロジェクトの背景には赤十字社が仮設住宅に避難した人には生活家電をあげるけれども自宅避難者にはあげなかったという事がありました。それはおかしいだろうと。生活していく上で重要な家電は家の1階にありました。自宅避難者であっても家電は津波でだめになっているのです。赤十字社は場所に支援したのです。被災した人でなく。人が人に支援するのが基本でないかと思ったのです。

なぜできたのか聞かれます。構造構成主義という堅くて頭をぶつけたら血が出そうな話ですが、簡単に言うと本質論を実践していました。本質にしか興味のない人だったのです。細かい技術やノウハウは領域が変わると使えない汎用性が無いものですが、私は汎用性がある最低限のものだけ欲しいと追求していました。やり方を習うのが普通ですが、私は方法の原理を追求していたのです。

なぜ被災者に物資は届かなかったのか?仙台市から拠点に仕分ける、さらに細かな拠点へと渡していると途中で詰まってしまうとその先にいかないのです。そこでどういう方法がよいか考えました。私は絶対に状況と目的を抜きに考えることができないのです。

伝えるのではなく感じてもらう

例えば今日の講演も聴衆が3人ならマイクもいらないし膝をつき合わせた方がいいわけです。講演中の写真撮影についても会場は暗くしているので写真撮れませんよと会場の人に言われました。私は会場は明るくしますと答えました。暗いと聴衆の反応もわかりません。大久保さんの話にもありましたが、コミュニケーションこそライブなのです。

情報だけなら放送大学を見ていればいいのですが、放送大学がなぜあれほどつまらないのか、あんなに見ていて眠くなるコンテンツを揃えているのかというと正しく(一方向に)伝えようとしているからです。

世の中のオーソドックスなものが本当にいいかはわからりません。情報を伝えるのが目的でないので今日はパワポは使いません。皆さんには感じて欲しいと思います。

赤十字社も状況と目的を考えたら、目的を被災された方のサポートと考えたらどこに住んでいても支援すべきでした。でもできなかった。世の中のほとんどの人にとって正しい方法はあります。ただ、そうした表面的な方法を正しいかどうか判断するスキームがわからないのです。

状況と目的に応じて方法を変える

状況と目的に応じてやり方は変わっていい。決して前例を否定するものではないという事を共有することで有効な方法が変わりました。それだけです。

方法とはなんでしょう?方法をどんどん変えていきました。まず機能させるのがチームの目的でした。なので表面的に準備をするのではなく、必要だから銀行口座を作ろうかなどと、状況に応じて方法をどんどん変えました。被災された方に重機免許をとっていただいくプロジェクトもありました。がれき撤去しながら重機を使った仕事にもできるんです。

私のMBAの学生に企業からの派遣学生がたくさんいました。金融機関から来ている人もたくさんいたのでこういう理由で口座を作りたいんだけど何とかできない?と聞いたら色々と掛け合ってくれました。一人一人には想いがあるんです。でも、組織となると雨の日には傘を貸さないと言われるようなリスクを減らすのが目的になってしまうのです。

主観と客観、そして本質

統計の話が出てきたのでお話しますが、心理学と聞くと皆さんやわらかいイメージがあるかもしれません。でも実際は統計をつかわないとジャーナルに載りません。なぜなら客観的でないから。

物理学や自然科学に憧れて出てきた学問なので精神物理学と呼んでいます。でも心って触ったことあります?物理学とは全く違うアプローチが必要だったのですが統計も使わないといけない学問でした。私は博士課程の途中で統計に意味がないなとわかったのですが、どうやら博士課程のどこかで統計使えばいいようだとわかったので最低限の利用に留めるようにしました。

量的な研究でわかることもありますが、いい会社の本質はわかりません。いい会社は外れ値なんです。全体で統計を取るとイチローだって誤差だろという事になります。素人の平均を出すことになんの意味があるんだろうと思います。それより一事例であってもイチローの構造を解明した方がいいんじゃないでしょうか。

客観だけでもダメだよねという事です。主観というとどうしても自分は嫌いだとかそういったものも主観なので、その間を通したいのです。これを関心相関性と呼びます。
僕らの身体は欲望や目的に応じて価値を見出しています。

正しいものがどこかに転がっているわけではありません。価値判断の本質論を作っていくことで量と質の目的に応じてどういう方法がよいのか考えられるようにしたものが構造構成主義です。

本質に興味があります。統計によるハッタリで騙されることがあるからです。統計も実際は恣意的で学問も実戦においても本質を大事にしています。本質が合っていない限り何を積み上げても無意味なままです。

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