いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

なぜ投資は”きれいごと”でうまくいくのか?[鎌倉投信 新井和宏さん] いいチームをつくりましょう キックオフイベントレポート(2)

6月24日(水)のいい会社をつくりましょうキックオフイベントレポートの2回目は鎌倉投信のファンドマネージャー新井和宏さんの講演です。30分という短い時間だったので鎌倉投信の考え方、投資哲学の根っこを話されてました。

統計をとことん突き詰めた結果、統計学の限界を知り、逆に統計学でいうところの外れ値に注目するようになったというのは面白い話です。とかく数式モデルで社会を表したがりますが、それほど現実社会は単純ではないという事ですね。

新井和宏×西條剛央出版記念講演会

いいチームをつくりましょう
 〜ソーシャルと成果を両立させる金融とボランティア組織の共通点〜

日時:2015年6月24日(水) 19:00〜21:20
場所:めぐろパーシモンホール

講演:
 新井和宏さん(鎌倉投信ファンドマネージャー)
 「なぜ投資は”きれいごと”でうまくいくのか?」

 

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鎌倉投信について

新井和宏(鎌倉投信 ファンドマネージャー):

鎌倉投信の新井と申します。最近ではプロフェッショナルに出たという方が通りが良いのですが・・・。この中でプロフェッショナルを見たという方はどのくらいいるでしょうか?(8割くらいが挙手)皆さんには私をテレビに出たという事でなく本業で理解していただきたいと思います。

ちなみに視聴率は5.8%でした。数字を扱う仕事をしているので数字は気になるんです。テレビの影響はすごいですね。放送後1ヶ月で鎌倉投信はブラック企業化しています。土曜日も社員は出社していてまだ9000人しかお客様がいない会社に資料請求だけで1万人を超えました。最近では資料を送る(郵送費)だけで倒産するのではないかと言われています(笑)

投資は「きれいごと」で成功する

投資は「きれいごと」で成功する――「あたたかい金融」で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資のルール

これはダイヤモンド社の方が出したタイトルなんです。私が言いたかったのは鎌倉投信をたちあげた当時、リーマンショックの真っ只中だったのですが、みんな日本をあきらめていたんです。そんな中鎌倉投信は創業から半年間、まだ免許もないので古民家再生をしていました。築85年の古民家を事務所にしていますので、皆さんにも遊びに来ていただきたいと思います。

投資=数式の世界から正反対の世界へ

リーマンショックが吹き荒れる中、自分達が何をすべきか考えました。自分自身が15年金融機関でやってきたことを振り返るうちに不思議な事に出会いました。2008年4月に『日本でいちばん大切にしたい会社』が出版されたのです。その中で伊那食品工業が紹介されていて、最初私は懺悔しました。自分は金融業界にいながらこういう会社を支えることができなかったな。

私がいた会社は金融工学の最先端で投資は数式だけという世界でやっていました。入社面接ではアメリカ人のボスと面接したのですが、私は理系で英語がだめ。ボスは日本語がだめ。私はつたない棒読みの英語で伝えようとしましたがボスはきょとんとしています。これには困りました。どうしよう。
そうしたらボスがホワイトボードに数式を書き、「この数式を展開してみろ」と言いました。私は数式を展開し、それで入社できたんです。そういう会社でした。

鎌倉投信はそこから180度変わります。昨日、一昨日と二日間皆さんにお渡しした色紙に西條先生と二人でサインをしていました。サインをしながらじっくり話をしていて二人の共通要素がわかりました。ずっとお互いが統計学を学んで実践してきていたのです。私は金融で西條先生は心理学の世界で統計学を実践していました。

こうなると惹かれるのは必定で西條先生が男性で良かったとつくづく思いました(笑)。二人とも徹底的にやってみて、所詮統計学はこの程度しかできない、そして使い方を間違えると大変なことになると考えていたのです。だから統計で現れる反対の事にものすごく価値を感じます。極端に行って、ちゃんと見たからこそ反対側が重要で、数式が大事でないと明確にわかっているのです。

今日はいいチームをつくりましょうの第一回という事で皆様に伝えたいのは反対側にいた人間として、社会は数式では解明できないという事です。「目的」と「手段」。この二つのキーワードを取り違えた瞬間に間違えた選択をしてしまうという事を金融はしてきました。

金融というと皆さん嫌がるんです。一番は伊那食品工業の塚越会長です。投資やファンドが大嫌い。大久保寛司さんに紹介いただいたのでお会いできましたが、寛司さんは塚越会長が唯一すべてを聞くと決めている人だったのでどうにかお会いできたのです。それでも「寛司さん、金融の人は嫌だよ。」と言われたそうです。初めてお会いした時、ものすごい形相で睨みつけられました。でも、変わるんです。塚越会長がプロフェッショナルを見て社員に「お前見たか」と聞いていたそうです。本当に嬉しい限りです。

数字で測れないものにまっすぐ進みたいという人がいます。例えば法政大学の坂本先生もそうです。見るポイントはたくさんあります。そんなに簡単にはできなかったと思いますが、この7年で大きく変わりました。具体的には震災から明らかに変わりました。皆さん、自分一人では生きていけないと気づかれたんだと思います。

リターンの定義を変える

「きれいごとだろう」「無理だろう」と否定されていたものを実現しようとしましたが、できると確信した訳が一個だけあります。同業(金融)は全て否定しました。でも、同業以外はそれが欲しいと言ったんです。その時点でこの商品は成り立つと思いました。他の運用機関にできないことを間違いなくやっています。

お金だけでは幸せになれない。社会が豊かになって皆さんの心が豊かになってはじめて幸せになるんです。そこで皆さんに幸せになっていただくためにリターンの定義を変えました。お金でしか返せないというのが業界での固定観念ですが鎌倉投信では次のように定義しました。

一つ目はお金をふやす資産形成、二つ目は投資先の会社を通じた社会形成、そして三つ目がお客様の豊かな心の形成。この3つが掛け合わさって出来上がるのがお客様にとってのリターンです。

金銭だけ最大化しようとしたら一番儲かるところに投資しないといけません。我々は3つのかけ算が最大化するところに投資します。そこが明確に既存の金融商品とは一線を画しています。

「いい会社に投資しましょう」ではなく、「いい会社をふやしましょう」

投資先とは苦楽を共にします。

金融は会社からこう言われています。「あなた達、いいところどりでしょ。調子がいいときだけ投資して悪くなったら売るでしょ。」
鎌倉投信ではこの人と心中だといいます。今日も来ていますがプロフェッショナルでも紹介された林業再生に取り組むベンチャー企業は、その会社を失うことが最も損失だと思っているので(いい会社であり続ける限り)最後まで付き合います。

理想論でしょと言われ続けましたが、7年間で大幅に変わりました。たくさんの方がこの考えを支持するようになったんです。会社は事業性と社会性どちらかが欠けても持続はできません。そして、社会から求められるのは事業性から社会性に徐々にシフトしています。

私たちが何を見ているかというと、明確にこっちの方向に行く理念を持っているかどうかです。理念は変えてはいけません。でも、会社は時代に合わせて変わり続けないといけません。現在は社会性が重視されつつあり、社会性を意識しないとどんどん時代遅れになるのです。

確実に皆さんは変化しているということを感じていただきたい。所詮、会社も人がやっているものです。完璧な人がいないように完璧な会社はありません。

「いい会社をふやしましょう」なんです。

「いい会社に投資しましょう」ではありません。いい会社をふやすための努力はできるからです。私たちはいい会社の情報を持っていて、その情報を提供できます。いい会社になろうとしている経営者や社員を応援し続けると決めました。プロとして結果を出します。

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