いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

九神ファームめむろ嵐山工場に行ってきました ープロジェクトめむろとはー

週末に北海道芽室町にある九神ファームめむろ嵐山工場を見学してきました。

新工場(嵐山工場)は入ると九神ファームの由来にもなった9人の神様がお出迎えしてくれます。本人、家族、町、土地の恵、お客様、企業、福祉、町民、教育機関。様々なステークホルダーとの関係性を表しています。そして大事なのが真ん中に書かれた言葉。

私たちは誰でもが当たり前に働いて生きていける

 そんな場所をここ芽室で実現します

これこそがプロジェクトめむろが目指すもの(ミッション)です。

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芽室町では知的・精神障がい者231名のうち、福祉的就労者は33名しかおらず、芽室町で生まれ育った障がいを持つ子ども達が就労できる場所を作り出すことが必須課題として認識されていました。

2012年8月にエフピコの特例子会社ダックス四国の障がい者雇用の取り組みなどを知った芽室町が且田さんをアドバイザーに任命、且田さんは正しい障がい者雇用の実績があり、このプロジェクトを通じて利益を生み出すことができる企業を探しました。

正しい障がい者雇用というところが重要で、障がい者”でも”できる仕事をさせるのではなく、障がい者”だから”できる仕事を本業でしっかりと行い、事業として継続させるためにも黒字化させる必要があります。

プロジェクトの出資先として候補に挙がったのが愛媛県宇和島市にあるクックチャムです。8月にプロジェクトが立ち上がって10月にはクックチャムに対してプレゼンテーションを行いました。この間わずか3ヶ月です。

それまでに農地の確保、事業所予定地となる休園中の保育園の利用(渋山工場として現在も稼働中)、JAめむろとの連携を担保すると同時に地域の農業経験豊富な高齢者をサポーターとすること、サービス管理責任者候補の確定、収支シミュレーションなど出資する企業にとって明確なメリットを打ち出しました。

2013年4月には九神ファームめむろを設立。開所当初は障がい者雇用が9名でしたが現在は13名を雇用しています。3haの農地でジャガイモやかぼちゃを生産する一方でじゃがいもをスチームした一次加工品の生産も行っています。生産された一次加工品は四国や九州のクック・チャムのお店でポテトサラダやコロッケの材料として使われます。

勤務体系実働6.5時間の月8休で月額換算平均給与は102,764円。これは十勝管内で一番高い給与です。(2位は帯広市にある農園で79,272円、3位は帯広市の清掃請負・クリーニング等で53,306円)

勤務についたばかりの時はじゃがいもの皮剥きもおぼつかない手つきだったのが今ではすっかり慣れてかなりのスピードでこなしています。また、包丁で野菜をカットするのも最初は初めての包丁におぼつかない手つきでしたが、今ではすっかり慣れてガラス越しに作業の様子を見ていても誰が障がい者なのかわからないくらいの手さばきです。

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九神ファームは行政と企業、地域の”広く深く強い”連携が強みです。多くの農福連携では地域の特産品など売りたいものを作り、結果として売れないという失敗事例が見られますが、プロジェクトめむろでは企業が欲しいものを作るという販路を確保してから事業を検討していくという逆の発想をしています。この発想は民間企業だからこそ生まれたものだと思いますし、行政も作りたいものを作ることを諦め、売れるものを作るという覚悟を決めたところが素晴らしいと思います。

JAや農家の先輩達によるサポートという地域との連携もについても行政の支援のもとで受けることができ、他地域から参入してきた企業がしっかりと地域に入り込んで利益の出る事業として障がい者雇用をしています。

そもそも、芽室町の町長の願いは障がいを持つ子ども達が安心して暮らせる街にすること。そのためには安定した職場が必要です。しっかり利益をあげて持続性のある事業にすることはとても大事です。そのため、原料となる農作物の生産だけでなくじゃがいもの皮剥き、カット、真空パックの一次加工まですることで収入を増やしています。出資企業(クックチャム)にとっては商社を通じて購入するよりもコストを下げながら障がい者雇用を増やすことが出来ました。

今後は他地域からの研修の受け入れとして嵐山工場に隣接する国民宿舎嵐山荘と連携した農業体験なども計画しています。この農業体験は畑で働く障がい者が全行程で研修生に対して指導をします。特別支援学校からの修学旅行を受け入れ、障がい者から指導を受けることで「働く」事の意味などを感じることの出来るツアーとなっています。

担当として地域おこし協力隊員を1名雇用しています。(→働くを感じるツアー

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新しく建設した第二工場(嵐山工場)では一次加工に留まらず二次加工(調理)を行うための設備も備えています。今後、芽室町内での存在感を高めるためにも地元野菜を使った定食屋さんを町内にオープンすることを目指しています。芽室町にできるばあばのお昼ごはんも新居浜店と同様に障がい者や高齢者、若者の就労の場として、また町民の交流の場となるようなお店になります。

更にプロジェクトめむろでは2016年、芽室工業団地に障がい者雇用を拡大することも計画しています。このような取り組みを通じて誰もが当たり前に働いて生きていける町を目指しています。

そんなプロジェクトめむろ、実は鎌倉投信の新井和宏さんが登場したNHKプロフェッショナルでもちょっとだけ映っていました。そしてこの週末にはクローズアップ現代の撮影が入っていました。近日中に放送される予定です。

どの地域、どの行政であっても腹をくくってやる気ににさえなれば実現可能な仕組みです。実際横展開も始まっていて三重県の東員町でも第二の芽室としてプロジェクトとういんが始まっています。そして長野県飯山市が第三の芽室を目指して市長自ら視察に来ていました。

トップが本質を理解して動いている自治体は強いですね。

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芽室町で開催された「誰もが働ける社会の実現をめざして」セミナーレポートに続きます。

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