いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

けにごろうさんがソーシャルレンディングの本を出版されます『年利7%! 今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!』

けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記を書かれているけにごろうこと中田健介さんが初めての本を出版されます。3月10日発売で既にAmazonでの予約が始まっています。

年利7%!  今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!

年利7%! 今こそ「金利」で資産を殖やしなさい!

 

 日本で初めて投資家の立場から投資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)について解説した本で、私も一足先に原稿を読ませていただきました。

これまであった本はどこかのソーシャルレンディングの会社の人が書かれているのでどうしてもそこの会社の商品説明になりがちでした。こちらの本は個人投資家が投資家目線で各会社のサービスなどを紹介しているのできっと参考になると思います。

個人的な注目ポイントは社長インタビューです。なかなか社長のインタビュー記事がなく、どんな事を考えて創業したのか将来に向けてどんな事を考えているのかなど知る機会がありませんでしたが、各社の特徴がよく現れたインタビューでした。

会社毎の特徴をおさえた上でいくつかの会社で分散投資をしてみることをこの本では薦めています。

ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディングとは主に事業者向けのローンを小口に分割して個人投資家に向けに販売するものです。以前は個人向けの融資もあったのですが、組織的な踏み倒しなどがあり現在では事業者向けローンが中心になっています。

自分にお金がたくさんあったらサラ金のような貸金業って儲かるよな〜と考えていた時期が私にもありました。実際やろうとすると審査やら延滞対応など大変なんですけど。

ソーシャルレンディングはその夢を叶えてくれる仕組みと言えます。ただ、日本の場合は貸金業による制約があり、融資先は非公開なおかつ複数に分散するように金融庁からの指導が入っています。(そうでないと実質的に免許を持っていない個人が貸金業をすることになってしまうため)

maneoが日本で創業した時、個人と個人をつなぐ融資が中心で多重債務に悩む人達がより低金利なまとめローンとして利用するケースが多く、こういう形ならいいかもと自分もちょっとだけ投資していました。

事業者向けのローンは創業直後の会社(3年程度の実績がないと貸してくれません)や金額が小さかったり、期間が短くて銀行が手間の割に実入りが少なくて融資してくれないような案件が中心です。中小企業が健全に育つ上で資金を必要としているのに既存の金融機関では規制などの影響もあってなかなか貸し出せない。そこを個人の小口資金を集める事でつなげるという仕組みに魅力を感じました。

確かに銀行で借りるよりも金利は高いのですが、半年だったり3ヶ月といった事業者側の都合で必要な額を必要な期間だけ融通してあげられるというのもいい仕組みです。(銀行はできるだけ大きなお金を長く借りて欲しい)

maneoで資金調達をするステージを終え、銀行から融資を受けられるようになって卒業していった中小企業もあります。

私は現在maneoとクラウドバンクの2社のサービスを利用しています。

 

銀行預金とソーシャルレンディングの違い

銀行は預金者に対して預金金利を保証する代わりに預かったお金でいくら儲けても預金者には預金金利分しか支払いません。今年は業績が良かったから預金にボーナス金利が付きますなんてことはありません。

ソーシャルレンディングは投資したお金で事業者に対して融資を行い、予め決められた手数料をソーシャルレンディング運営会社に支払った残りを投資家に戻します。

銀行預金のように金利が予め決められていて保証されない代わりに実績に応じた投資の成果が得られます。貸出先についてはソーシャルレンディング運営会社が与信をしています。

保証された安全な世界から一歩踏み出すことで期待される金利の水準が上がります。

 

注目を集めるソーシャルレンディング

アメリカでは昨年12月にピア・ツー・ピアレンディング(ソーシャルレンディング)大手のレンディングクラブがニューヨーク証券取引所に上場しました。

第55回 ピア・ツー・ピア(P2P)レンディングについて | 広瀬隆雄「わかりやすいグローバル投資レポート」 | 楽天証券

サブプライムローン問題やリーマンショックの後、銀行には不良債権を再び積み上げないよう厳しい規制が敷かれ、中小企業へ資金が流れなくなってしまう弊害が出ています。ソーシャルレンディングは既に海外でかなり大きな金額の融資実績が積み上がっており、中小企業セクターや個人への資金供給元としても期待されています。(やりすぎるとサブプライムローン問題が再発しますが・・・)

 

ソーシャルレンディングのメリット

個人投資家にとってのメリットは銀行預金や社債と比較して高い金利です。

1万円程度から投資が出来るので分散投資をすることでデフォルト(債務不履行)になった時の影響を小さくすることができます。

融資先企業の顔が見えないので社会的な意義を感じることはありませんが、今必要としていないお金を必要としているところへ届けるという金融の本来の役割を考えると眠っているお金を働きに出すことは悪い話ではありません。

株式市場や債券市場のようなセカンダリーマーケットがないので日々の値動きを気にする必要はありません。つまり、株式市場がどんなに下げても直接影響することはありません。ただし、景気後退局面で融資先が返済できなくなるリスクは考えておきましょう。

また、日本の企業へ投資するので為替リスクがありません。アメリカのハイ・イールド債やバンクローンに投資するのであればソーシャルレンディングは投資先の候補として考えてみる価値はあるのではないかと思います。

年利5%だったら国際分散投資でアセットアロケーション組んで目指している利回りだな〜と思ってもソーシャルレンディング100%にすることは勧めません。あくまでも投資におけるスパイス的な使い方がいいと思います。

 

ソーシャルレンディングのデメリット

国債や社債と比較すると融資先の財務健全性は劣ります。なのでデフォルト(債務不履行)には要注意。予定利回りが高いからと集中投資してはいけません。欲張らず比較的手堅いところを分散しまくりましょう。クラウドバンクの場合、だいたい5%以上の利回りがありますので20本に1本程度のデフォルトでも元本は回収できる計算です。

今のところクラウドバンクでは破綻実績はありませんが、常に疑う気持ちは大事です。高い金利に相当するだけのリスクがあるという事を忘れないで下さい。

単純に高金利な美味しい話ではありません。

また、ソーシャルレンディングの事業者自体がまだ若いベンチャー企業が中心です。運営会社に何かあった時の事も考えておきましょう。