いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。2017年に所沢から八女に移住しました。

渋沢栄一 愛と勇気と資本主義 [著]渋澤健

コモンズ投信会長の渋澤健さんが2001年に書かれた『渋沢栄一とヘッジファンドにリスクマネジメントを学ぶ』の改訂・加筆・文庫版です。 

渋沢栄一 愛と勇気と資本主義 (日経ビジネス人文庫)

渋沢栄一 愛と勇気と資本主義 (日経ビジネス人文庫)

 

渋沢栄一の『論語と算盤』の考え方はコモンズ投信にも受け継がれていると思うのですが、『渋澤流30年長期投資のすすめ』ではコモンズ投信を知るために読む一冊というのには物足りなく思っていました。

今回の本は渋沢栄一が提唱していた合本主義(=今日よりよい明日を目指す共感資本主義)をベースにヘッジファンドをリスクマネジメントの観点から紹介したり、渋沢栄一が現代に現れて渋澤健さんと会話したり、渋澤栄一の家訓が登場したり、話題は色々飛んでいるのですが、まず読み物として面白いと思いました。

ヘッジファンドの章ではバートン・ビックスがヘッジファンドの人々を紹介した『ヘッジファンドの懲りない人たち』のように尖った人達がイキイキと描かれています。仕事上付き合いがあってリスペクトしていた人達を紹介しているからこそこんな風に書けたんだと思いますが、これが面白いんです。

草食投資隊などで渋澤さんが話しているような内容も、活字で読み直してみるとまた違った考えが自分の中に現れてきます。話を聞くというのは感じる(心で受け止める)のに対して、文字で読むのは考える(脳で受け止める)事につながるのかなと思いました。

この本は読み進めていくうちに一般的に認識されている現代の資本主義とは違う渋澤栄一流の資本主義=共感資本主義がどういったものなのか理解できると思いますし、なぜコモンズ30ファンドは投資委員会を併用した合議制なのか?なぜ赤字にも関わらずコモンズSEEDCapをしているのか?なぜ社会起業家を応援しているのか?その背景にある愛を知ることができると思います。(それを受け入れるかどうかは個々人の判断です。)

似てると言われる鎌倉投信が心に訴えかけてくるのに対して、コモンズ投信は頭に訴えかけてきます。また、コンセプトやセミナーを通じた投資先との対話については評価が高い一方で、ファンドの運用についてコンセプトに基づいた説明が十分に出来ていないのが歯がゆいところでもあります。コンセプトから入った人はファンドを受け入れられると思うけど、ファンドからコンセプトを見ようとした場合が弱いんですよね。

そういう意味でこの本は渋澤さんの目指す姿と背景を知る助けになる1冊だと思います。

「話してることは立派なんだけど、一般的なファンドとどこが違うの?」という疑問に対して、コモンズ30ファンド自体の”見えない価値”を市井の人にもわかりやすく伝えられるようになった時、渋沢栄一が考えていた愛ある共感資本主義の受け皿としてたくさんの人に受け入れられる存在になるんじゃないかと思いました。