いい投資探検日誌(from 八女)

しあわせをふやす いいお金の使い方を考えています。サステナブル投資家。2017年に新所沢から八女に移住しました。週末は一口馬主を楽しんでます。

アブラボワークショップ〜自分でつくる食と仕事〜に参加しました

7月26日(土)に原宿にあるイベントスペース空き地で開催されたアブラボワークショップ〜自分でつくる食と仕事〜に参加してきました。主催はNPO法人フードデザイナーズネットワーク(FDN)さんです。

FDNでは地域の仕事を食を通じて都市部へ紹介する活動を行っています。今回は9回目となるトークイベントで岡山県西粟倉村で西粟倉・森の学校を卒業して油屋になった油姫こと大林さんと東京都の離島、利島で椿油の営業をされている椿王子こと清水さんのお話でした。

以前京都で開催されたアブラナイトが楽しそうだったので興味あったんですよね。1週間前に西粟倉に行った時、大林さんから森の学校を辞めて油屋に専念するという話を聞いたばかりだったのですが、東京でイベントを開催することを知り、参加することにしました。

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【油生活のススメ】 ablabo. 大林由佳
2012年3月に大学を卒業し、4月から西粟倉・森の学校へ入社しました。
その後、油屋になりたいと周りの人に話していたら紹介されたのが隣町の津山に住んでいる93歳になる師匠。


「神谷敬正さんの菜種油作りにかける情熱」RNC- news every(2011/09/27OA) - YouTube

戦後、引き上げてくるときに美味しい天ぷらが食べたいというので始めた油作り。テレビでは油が米や砂糖と並んで貴重なものだったからというようなことも話していたけれども、私が聞いたのは美味しい天ぷらが食べたかったからという話。こっちの方が人間の素直な気持ちだと思います。

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93歳の師匠が絞る古式製法油。2,400円ですが、なんのためらいもなく買っちゃいました。

師匠の油はとにかく伝説が多すぎて、この間も昭和20年代に作った油で天ぷらにしたら美味しかったと話していました。後継者がいないという事だったので、私を後継者にしてくださいと言ったら「いいよ」と。
美味しい天ぷらを食べたかったという単純な志を引き継いでいきたいと思っています。また、自分の周りに菜種作りを手伝ってくれる人がいたことにも助けられました。

油というと体に悪そうなイメージを持つ人もいると思います。
油には二種類あります。
 油(oil) 植物性でさらさらしている
 脂(fat) 動物性で固形

また、見えるアブラと見えないアブラがあって、見えるアブラは自分で調理の際に入れるアブラ。見えないアブラはチョコレートや出来上がった料理などに最初から含まれているアブラのこと。

見えるアブラ:見えないアブラを1:2の比率で取るといいと思います。
目安としては見えるアブラは一日あたり大さじ2杯。

見えないアブラは見えないので厳密には計れないので・・・。

いい油というのは素材の香りや味がするもの。
悪い油は参加したり成分が変わってしまってまずくてアブラくさいもの。

いい油に出会うにはどうしたらいいでしょうか?
野菜などでは顔が見える生産者がいるように油にもいい生産者と出会うことが必要。
自分で探すのが難しい場合は探している人を探すことでも代用できると思います。
そういった形で生産者の顔が見える関係を作りたいと思います。

今日は家庭用の圧搾機を使ってゴマの油を絞りたいと思います。

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この家庭用の圧搾機、結構いい値段がします・・・。絞ったごま油は本当にごまそのものの味と香りです。

油を搾る際に大事になるのが焙煎。
師匠からは種の声を聞くように言われていますが、まだ自分はそこまでには至っていません。今年の夏から一緒に油作りをしながら引き継いでいこうとしています。

 

続いて、利島の椿王子こと清水雄太さんのお話です。伊豆七島はいずれ全島踏破しようとしていたので利島がどんなところかなのか話を聞けて良かったです。

椿の実がなっている時期に行ってみたい!と思いました。(っていうか行きます)島の80%が椿ってどんななんだろう?

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【あなたの知らない利島村】 清水雄太

埼玉出身で利島にIターンして5年目になります。
網走の大学を卒業して一度は食品メーカーの営業をやっていました。
2010年3月に23歳で利島にIターンすることを決め、農協職員として椿油の営業を担当しています。と同時に利島の椿油を島づくりに生かせないかと利島を知ってもらうための活動もしています。
一か月のうち10日ほどは本土に出張していて、休みの日は釣りをしています。

日本にどのくらいの島があるか知っていますか?
答えは6,852です。そのうち有人島は422、無人島が6,430になります。
東京都にも伊豆七島のような島があり、島がある首都は世界的に見ても多くありません。利島は伊豆七島の二番目の島で竹芝からは135kmとそんなに遠くはありません。島の周囲は4.12kmの小さな島で人口は300人ほどです。

昔から水に苦労した島で、四手と呼ばれる木に降った雨水を集めて井戸に入れたりしていました。水道ができたのも40年ほど前で、今でも天水と脱塩装置を使った海水から水を作っています。また、水がないので田んぼもなく、昔から椿油を年貢として上納していました。

かつては養蚕が主な産業でしたが、椿油が主な産業に変わりました。

ツバキ科は190種類くらいあるのですが、利島にはヤブツバキと呼ばれる固有種が生えています。冬の間海から強い風が吹くことへの防風林として塩害や病気にも強かった椿が植えられました。今では島に20万本の椿があり、島の土地の80%が椿です。

10月下旬〜2月にかけて花が咲き、6月中旬〜9月中旬にかけて切っ払いと呼ばれる下草を刈って実を拾いやすくする作業を行います。その後、結実した実が落ちてきたのを拾い集めます。

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この写真を見てもわかるようにかなりの重労働です。
種を拾うのは地面にはいつくばって行う大変な重労働です。
その後、天日干しにした椿の種を島にある製油センターへ持ち込み、椿油を絞ります。椿油を絞ったカスは堆肥としても使われます。

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椿の実 栗のような大きさでもっと堅い実です。これから油が取れるとは・・・

島はほとんどが常緑樹の椿のため、紅葉などの四季を感じる風景はなく、椿の花や実がなっている姿を見て四季を感じることになります。

椿油というとおばあちゃんが髪につけていたとか、最近はシャンプーなどに入っているなど食用としてのイメージがあまりないと思います。

椿油がいつ頃登場したかというと平安初期には食用、薬用、灯用として貴族などへ上納されていました。また、遣唐使も日本から椿油を6斗上納したと伝えられていて、中国では不老長寿の薬とも言われていました。

その後日本でも徳川家康が椿油で揚げた天ぷらが大好きだったりしていましたが、高価だったため庶民には手の出せない存在で明治に入ると他の食用油が海外から入ってきたことで日本文化の中から忘れ去られた存在となっていました。

食用としての椿油もぜひ知って欲しいと思います。

 

【質疑応答】

Q.
大林さんに質問です。最初に油にはまったきっかけは?

大林.
いろんな調味料がもともと好きだったのですが、昨年1月に小豆島に旅行した際に素麺作りをしているところを見学して、折まがったところを揚げたものを食べさせてもらいました。

その時、この油をつけると美味しいよと出されたのがグリーンレモンオリーブオイルで油に油ってなに?みたいな感じでつけてみたらびっくりするくらい美味しくて一気に油にハマりました。私の人生を変えた油です。

既に今年の分は販売終了しているのですが、今日は特別に持ってきていますので少し味見をしてみてください。

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Q.
清水さんはどういう経緯でJAへ入社されたんですか?

清水.
伊豆大島に釣りに行ったりはしていましたが、ちょうど利島にIターンすることを決めた時、役場にJA職員の募集が出ていました。大学は東京農大で水産系をやっていたのでそれとはまた違う分野です。

Q.
椿油販売の中で何を最終的な目標にしていますか?

清水.
利島の名前も知って欲しいのでPRもしていますし、農家さんの所得も増えて欲しいですし、何かのきっかけで他とつながるご縁があるかもしれないと思ってやっています。

 

【試食タイム】

その後、試食タイムへ。菜種油と椿油の大林さんブレンドで素揚げにした利島の野菜やこれまた大林さんによる菜種、椿油で作ったドレッシングでスティック野菜をいただきます。

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いい油は揚げ物にしてもしつこくないですし、生野菜につけても調味料として引き立ちますね。

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ごま油を絞る人も。絞りたてのごま油をバゲットにつけて食べると胡麻の南部煎餅の味が!(ようは小麦とごまの味ってことなんですが)

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調味料には以前からちょっと興味がありましたが、今回のワークショップで油にも俄然興味がわきました。大林さんが油にハマったきっかけになったという小豆島のグリーンレモンオリーブオイルもちょっとだけ味見させていただきましたが、あれはハマるのも納得の美味しさでした。

いい油はいい調味料にもなるんですよね。ほどほどの値段でかなり美味しさをアップさせることができるのがいい調味料の魅力でもあるので、これからは油にもこだわってみようかと思います。

また、油についてイキイキと話していている大林さんの姿を見て、本当にいい仕事を見つけたんだなあと。

9月にはウェブでの販売も始まる予定とのことで楽しみです。応援してますよ!

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