"いい投資"探検日誌 from 新所沢

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いい会社の理念経営塾(1) エー・ピーカンパニー大久保伸隆副社長 (後編)

6月18日(水)にNPO法人いい会社をふやしましょう主催の「いい会社の理念経営塾 〜組織を動かす"ふつう"の人たち」の第一回が開催されました。

日時:2014年6月18日(水) 19:00〜21:00

講師:株式会社エー・ピーカンパニー取締役副社長 大久保伸隆氏

場所:3×3 Labo

主催:NPO法人いい会社をふやしましょう

後編は人と経営研究所の大久保寛司さんとの対談でした。この組み合わせは予想していなかったので嬉しいサプライズでした。大久保寛司さんが的確に重要なところを補足して下さったので学び多いお話になりました。

また、途中でエー・ピーカンパニーに転職された方が前に呼び出されて話すという場面があったのですが、皆さんイキイキとしていて本当にいい会社なんだなと思いました。

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いい会社の理念経営塾(1) エー・ピーカンパニー大久保伸隆副社長 (前編)

鎌倉投信・第4回「結い2101」受益者総会レポート(8)エー・ピーカンパニー 大久保伸隆氏

 

大久保寛司(人と経営研究所):

昨年、鎌倉投信の受益者総会で大久保さんに出てもらいましたが、当日の打ち合わせで急に「人材育成の話をするな」と話しました。今日、その話を聞きましたが3歳から30歳までのギャップがすごいですね。

エー・ピーカンパニーに行ってみて感じたのは人が輝いているということです。
インタビュー癖があるのでそこら中にいる人に話を聞きましたが、全員が楽しいと答えていました。

また、出入りの業者さんにも社員と間違えてインタビューしてしまったのですが、せっかくなので他社と比較してどうですか?と聞いてみると「皆さん、いきいきしています。」という答えが返ってきました。

魚を担当している女性が明後日宮崎に行って船に乗るんですと話していましたが、そういう人材育成をしています。


お店の人にもインタビューしてみて感激したのは、生産の現場でどんな苦労をして食材がここにあるのか彼らが知っているということです。一度さげられた料理も調理を加えてまた出てきます。そこで言われたのが「うちはお出したものは全部食べてもらいます。」という言葉でした。もちろんその調理代はいただいていません。

大久保伸隆:

色々褒められていますがまだまだのお店もあります。いい店舗になるまでに1年くらいかかることもあり、どこでも確実に感動はするわけではないので抑え気味に聞いて下さい。

宮崎の生産者に会いに行く研修や、屠殺シーンを見てもらって生産者が考えている事を理解してもらいますが、生産者は別に苦労を知ってもらいたいわけではありません。食べた人に「美味しい」って言われたいんです。

これをアルバイトにわかってもらうようにしています。これがストンと落ちた子はできるようになります。

大久保寛司(人と経営研究所):

正社員とパートの比率はどれくらい?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

正社員4名に対してパートタイマー20名くらいで正社員比率は他社よりも高いです。

大久保寛司(人と経営研究所):
バイトも人が伸びるのはなぜですか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

細かいことを教えないようにしています。人間性など古風な教育をしていて、根っこが整ったら公園だけ用意して自分で転んで覚えなさいという風に自分で勉強してもらうようにしています。

ただし、マインドやモチベーションの面でのサポートはしています。
店長がしっかりケアできている店はうまくいっています。一人一人をを見ていて、必要な時に声をかけたり励ますのができているのです。

大久保寛司(人と経営研究所):

皆さんわかっているとは思いますが、こういう風に言葉で説明できている事に本質はありません。ここで聞いたことをそのまま持ってきてもうまくいかないのはその為です。
日常の所作などに本質があるのです。

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

まだ20代の店長が重要視しているのは彼ら(アルバイト)に成長してもらうことです。

大久保寛司(人と経営研究所):

実際に見せていただきましたが、朝礼をやっていますよね。あれはどのくらいの店舗でやっているのですか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

やる、やらないは店長次第ですが、約9割の店舗で毎日15分くらいの朝礼をやっています。

大久保寛司(人と経営研究所):

当番でスピーチする姿を見させていただきましたが、「お客さんとのやりとりの中でこう思ったのにできなかった。今度からはやってみることが成長につながると思う。」と19歳の子が話しているのを聞いて、一緒に見ていた経済産業省の人に「人間力で負けましたね。」と言ったら「そうですね。」と答えていました。

素直にそうですねと認めることのできる経済産業省の人も人物ですが、19歳の子がそこまでしっかりとした人間力を備えている事に驚きました。

お店の子にもインタビューをしましたが、「仕事がむちゃくちゃ楽しい。」という答えでした。大久保さんについてもどういう人か聞いてみましたが、すごく尊敬されていました。

結論からすると、大久保という名前にはいい奴が多いということです(笑)。
新入社員だけでの新店舗立ち上げはよく意思決定できたね。

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大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

正解かどうかはわかりませんが、従業員の楽しさはそこにあると思ったので迷いはありませんでした。
最初の1時間くらいはガタガタで、やっちゃったなあと思ったけれども、経験が無い分、毎日の行動量はあるのでうまくいくと確信しました。

大久保寛司(人と経営研究所):

今の話を聞いてもどこをみているかわかりますね。結果ではなく意識を見ているんです。これまでの話を振り返っても「人間」に軸足に置いています。

船に乗りに行くとかの発想はどこから来たんですか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

自分が入社して1年たったくらいからなのでまだ15店舗くらいの時からやっています。当時から社長がやろうとしていたことです。

自分も転職する際に10社くらい面接を受けましたが、まだ小さな会社なのに将来上場するんだと話していて、一番輝いていると感じたのがこの会社でした。入社して3日間はやっちゃったかなと思いましが、(2店舗目の店長だった)天野さんは社長をリスペクトしていました。

社長と自分の役割分担の話をすると、お店周りにいるのが自分で、いないのが社長です。人間回り、店舗開発には社長も基本的には口を出さず、自分に任せてくれています。社長は生産者との価値観の共有に取り組んでいます。

大久保寛司(人と経営研究所):

現場でのコミュニケーションを理解して、いかにいい仕事をしてもらうか。
社長は素材の現場担当で会社の中の事は大久保さんが担当しています。

20代半ばすぎから採用と育成をやっていて、それでいてきっちり成長できている事に衝撃をうけました

エー・ピーカンパニーは最短で一部上場した会社です。人については全部彼が担当していて、彼より年上の人であってもみんな彼を尊敬しています。今日は実際に社員も来ているので・・・井上さん、こちらに来て話していただけますか?

井上(エー・ピーカンパニー):

入社したのは4年前ですが、仕事上で7年前からお付き合いがありました。
前職では人材育成のコンサルをやっていて、まだ十数店舗しかなかったころから担当していました。

最初は全てが未整備の状態で、社長に自社のサービスを10分説明したところで「ところでうちのお店行ったことある?」から始まって50分間延々社長の話を聞かされました。

そうしてどっちが営業を受けているのかわからないまま契約をいただくことになったのです。

実際に仕事で関わってみると仕組みとしてはまだまだでしたが、社長が熱い人でそこに惹かれました。お店が増えても社長の熱意と大久保、天野がものすごく仕事を楽しんでやっていました。

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

先ほど話したジャブ(お客様に喜んでもらうためのちょっとしたサービス)という名前は井上が考えたんです。

大久保寛司(人と経営研究所):

入社してみてどうでした?

井上(エー・ピーカンパニー):

入社前と後ではここまで変らないのかと。
仕事の充実感が違いました。前職でも仕事は楽しかったけれどもどこか満たされない感覚があったのが充実感に変わりました。

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

数字をコミットしないコンサルが嫌いでした。
井上は組織のコンサルだったので最初はうさんくさいと思ってました。

大久保寛司(人と経営研究所):

伸隆さんの印象はどうでした?

井上(エー・ピーカンパニー):

最初は冷たいし、おっかない人という印象でした。
今は一緒に仕事をするようになってそれだけではないとわかりましたが。

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

そう言うしかないよね(笑)

大久保寛司(人と経営研究所):

他にも今日は来ていらっしゃいます。渡辺さん。

渡辺(エー・ピーカンパニー):

昨年3月にヘッドハンティングの会社から紹介されて転職しました。
最初はそんなに転職するつもりはあまりなかったので話を聞いてみようという感じでした。


大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

彼はずっと年収1,000万円以上で仕事をしてきたんです

渡辺(エー・ピーカンパニー):

当時は学習塾で働いていたのですが、仕事が面白くありませんでした。
大久保の話にもありましたが、自分もサザエさん症候群にかかっていてヘッドハンティングの会社には仕事について家族や友人に話したくなるような会社がいいというのを希望していました。その中で紹介されたのがエー・ピーカンパニーです。


普通の会社だと中途入社の面接では何ができるの?と聞かれるので自分もそういった事を話しました。最初の5分自己紹介した後はずっと面接の担当者にいかにいい会社なのかというのを聞かされました。

それで二次面接に通って大久保さんと面談することになったのですが、最初に大久保さんから「先入観を持たない為、自分は何も聞いてません。」と言われたのであちゃーと思いつつまた、5分ほど自己紹介をしました。すると、その後の時間はずっと大久保さんの話を聞かされました。

そうして結果的に入社することになりました。
この間、社長と飲みに行く機会があって「渡辺君は何をしているの?」と聞かれたので「教育をやっています。」と答えたら「日本を良くするのが俺たちのやることだよ。」と言われてガーンとなりました。

自分は教育という小さなところで見ていたと、日本を良くするというのを自分のものにした上で教育をしないといけないと再認識しました。そういう会社に出会えたのが嬉しいです。

結果的にサザエさん症候群はなおりました。

大久保寛司(人と経営研究所):

人間の本質が出ないとサザエさん症候群になります。
まずは食べられることが大事ですが、食べられるようになったら次にもっと違う欲求が出てきます。

このように社員が輝いている会社はたくさんあります。例えば都田建設というところへも見学に行きました。

集団で伺ったのですが、参加者全員が名前で呼ばれました。若い女性が輝いていても中高年の男性が死んだ目をしている会社が多い中、都田建設は中高年の男性も輝いていました。

人がいきいき輝いているというそこに軸足を置いています。
シンガポールではどうやって教育をしてますか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

日本でやっていることをそのまま英語でやりました。
やってみるとむしろ日本よりもこういうのを求めてましたという感じです。

一昨年の夏に3店舗出店していますが、日本と同じく人を大切にする教育をしました。中国で映像研修しても反応は一緒だったので所詮人間は同じなのかなと。

ただ、フィリピン人とシンガポール人が一緒だと何かが起こるので、そういったところは変えてあげています。

大久保寛司(人と経営研究所):

そのまま聞いていると大事な部分を聞き漏らします。
フィリピン人とシンガポール人の話のように細かい点で気を配る必要があります
しっかりとアンテナをたてて話を聞いて下さい。

宮崎旅行にはお客さんをつれていくのですか?


大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

カードの裏に3回印鑑を押すと応募ができるようになっています。
客単価を考えると12,000円食べたら応募できる計算で絶対に元が取れるのがいいところです。

10組20名を招待しましたが、養鶏場は検疫の関係で行くことができませんでしたが、いずれは見てほしいと思っています。生産の現場とお客様の距離をいかに縮めるか、現地で農業や漁業する人と近くなることで自分と一つになっていきます。

大事なのは気合いと思いだけでなく仕組みです。「人間」「算盤」「夢」とあった場合、算盤は夢の実現のためにあります。日本を良くするという思いが社員に展開されているからこそ人間性をみる視点も育ちます。

大久保寛司(人と経営研究所):

人間性はどうやって判断しているのですか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

例えば待ち合わせ場所をバス停にして、他のバイトに道を聞かせたりします。
そこでの対応で人間性を見たりしています。

大久保寛司(人と経営研究所):

リッツカールトンの採用面接も同じような事をしていました。
面接会場に行く途中にごみが落ちていて、会場に入った時にごみを拾ってきた人だけが面接に進めるのです。

最終的に、これは知れ渡ってしまってごみを探すような人が出てきたので今はやっていませんが・・・

先ほど本を読むのが好きと話していましたがどのくらい読んでますか?


大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

年間500冊くらいです

大久保寛司(人と経営研究所):

本は数を読めばいいというものではありませんが、まずは量で質はそのあとです。
忙しいと思いますが、どんな時間に読んでますか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

月の半分が出張なので移動時間に読むようにしています。

大久保寛司(人と経営研究所):

40代までは本をむちゃくちゃ読んでください。
書くのは大変なのでさらっと読まれると空しさを感じることもありますが、安くて学べるいいものです。

客層が変るという話がありましたが


大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

割れ窓理論みたいなものでトイレが汚れていると汚すというのがあるため、掃除を徹底しました。また、未成年を絶対に入れないようにしています。

騒がしい大学生が来ないと居心地がいいという事で大人が来るようになります。
マナーとフレンドシップのバランスを取るように気を配っています。

先ほども話しましたが全部の店のレベルが高いわけではありません。ハイレベルな店があって、そこで働く人達はいきいきしています。

大久保寛司(人と経営研究所):

人間なんのために働くのか?生きているのか?を考えるといきつくのは幸せになるためです。いま幸せですか?

まわりに面倒をみる人がいると幸せにしたり、輝かせることができるようになります。

いい仕事をして、命を輝かせて存在価値を高めることになります。人材育成で一番重要視していることはなんですか?


大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

その人の価値観を知って一人ひとり伝え方、環境を変えることです。
完全には出来ていませんが、努力しています。

大久保寛司(人と経営研究所):

相手のペースにあわせますというのはリッツカールトンもやっていました。

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

部下も出来るようになるため、人材育成の一部はアウトソーシングしています。
自分のメンターにあたる荻野さんです。

大久保寛司(人と経営研究所):

荻野さん、せっかくいらしているのでちょっとお話を聞かせてください。

荻野:

事業部長以上の人はトップクラスの人材が集まっていますので何かしなさいとは言えません。教える事はあまりないので大上段にやらず、気づかせるようにしています。

大久保寛司(人と経営研究所):

教えられた感覚を持たせないようにしているという事ですね。教えられた瞬間、人は楽しくなくなります

課題も大事ですが使命感やビジョン、夢がなにか、人としてどうしたら生き生きとしていけるか、本質がなにかが大事です。

正しい事を言っても人は動きません。肝心なポイントは誰が言うかです。

今後、なにをしたいですか?

大久保伸隆(エー・ピーカンパニー):

外食産業の年表にエー・ピーカンパニーを残したいと思っています。

ファミリーレストランの誕生など外食産業の年表には様々なイベントがありますが、2015年は増税が転機となって日本由来のチェーン店として塚田農場などの名前を残したいです。

農家を救いたい、従業員を社会人にでるまえに一人前にと思っていましたが、奇跡のリンゴの木村さんの言葉で気づかされました。

りんごを作っていますと言っていました。
でも、りんごはりんごの木が作っていました。
私はりんごの木がりんごを作るお手伝いをしています。

育つ環境をどうつくるかが大切なのです。

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